研究課題/領域番号 |
19K13665
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07030:経済統計関連
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研究機関 | 一橋大学 (2022) 東北大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
植松 良公 一橋大学, ソーシャル・データサイエンス教育研究推進センター, 准教授 (40835279)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ファクターモデル / スパース性 / 高次元データ / 分散共分散行列 / ポートフォリオ選択 / 偽発見率 / 検出力 / ベクトル自己回帰 / バイアス修正 / ノックオフ / 統計的推測 / FDRコントロール / 高次元時系列 / ファクター |
研究開始時の研究の概要 |
高次元統計的推測の方法論は大きく二つに分けられる.一つは,サンプル分割に基づく「局所的推測」である.もう一つは,ワンステップで全体の推測をする「大域的推測」である.前者はサンプルの有効利用の観点からロスが生じるため,サンプルの限られる経済分析ではうまく機能しない場合も多い.一方で後者はすべてのサンプルを効率的に使えるが,直接高次元モデルを扱うため難しい.現状では,大域的推測に関する方法論やその理論は多くの部分が発展途上にある.そこで本研究では,近年提案された「ノックオフ法」に注目し,高次元マクロ計量モデルにおける大域的推測の方法論とその理論の確立を目指す.
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研究実績の概要 |
2022年度の研究業績は以下の通りである。 1.ファクターモデルにおける識別可能性の問題に関する研究:近似的ファクターモデルは識別性の問題を持つことが知られている。これについて、Baiらは推定量に依存する回転行列を用いた理論を展開しているが、推測においては適切とは言えない。本研究では、ランダムでない回転行列を伴う推測理論について考察している。 2.高次元分散共分散行列の推定に関する研究:一般に、分散共分散行列の推定は高次元になると困難であり、何らかの次元削減が必要となる。Fan et al. (2011, AoS; 2013, JRSSB) では、ファクターモデルを用いて次元削減をしたうえでの分散共分散推定を論じている。本研究では、観測可能なファクターと、潜在的ウィークファクターを用いた次元削減への拡張を提案した。研究成果は計量経済学の海外専門誌であるEconometrics Journalに投稿し、2023年3月末時点で掲載への条件付き採択を得ている。 3.大規模ポートフォリオ選択問題への応用:2021年度に引き続き、大量の投資可能資産から効率的なポートフォリオを構築する方法を考察している。lassoやknockoff法によるスクリーニングを組み合わせた手法を提案し、その統計学的な理論保証について考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に採択された論文はなかったものの、1本が条件付き採択であり、2023年度前半には採択される見込みである。また、上述した通りそのほかの研究もおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ファクターモデルの識別性の問題と、大規模ポートフォリオ選択問題を中心に研究を進めていく。前者については、おおむね結果が得られたのでまとめる作業に取り掛かる。後者については、方法論がある程度固まったので、その理論的考察を中心に取り組む。
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