研究課題/領域番号 |
19K13674
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 正弘 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60622214)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 消費者学習 / 社会的学習 / 製品安全 / 製品普及 / 製品イノベーション / ネットワーク / 消費者 / イノベーション普及 / ビッグデータ / グラフ理論 |
研究開始時の研究の概要 |
イノベーションの普及を介在するチャネルについて、既往の普及研究では、マスメディア・チャネルのほか口コミなどの対人チャネルに焦点を当ててきた。一方、伝統的なミクロ経済理論では、消費者は市場で意思決定する孤立した点として描かれてきた。しかし、両者の消費者像の間には欠落がある。すなわち、直接的な社会関係がなくとも、市場を介して――とりわけ、購買決定に際し比較考量する製品選択肢の形成を通じて影響を与え合う消費者のネットワークである。本研究では、市場を介した消費者間の間接的な影響関係のネットワークに焦点を当て、それがイノベーション普及過程に及ぼす影響を、購買ビッグデータの分析を通じて明らかにする。
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研究成果の概要 |
他者の言動やその結果を観測することで行われる学習を社会的学習という。人々は、他者の言動等の情報を正確に伝達することを目的とする仕組みだけでなく、それよりもはるかに幅広い機会を捉えて多くを学ぶ。本研究では、製品安全危機後の製品の再普及過程を例として取り上げ、消費者がインフォーマルな社会的学習を行う構造モデルを構築し、マルコフ連鎖モンテカルロ・シミュレーションによる階層ベイズモデルで推計を行った。その結果、インフォーマルな社会的学習の仕組みが社会全体を真実に導く上で積極的な役割を果たしていること、それに人々の間の多様性やネガティブなニュースを忘却することが貢献していることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、製品普及過程におけるインフォーマルな社会的学習の役割を明らかにした。このようなインフォーマルな学習は、新型コロナウィルスの感染拡大過程を含む、生活様式や技術、意見やアイディアの伝搬の様々な側面に影響を与えていると考えられる。人々は、行政機関やメディアが伝えるフォーマルな情報だけでなく、スーパーやコンビニの混雑状況、SNS上の知人の旅行や外食の写真などから、新しい生活様式の有用性や感染リスクを学習している。そしてそれが後続の学習者に影響を与えることで、集団全体における伝搬の行方が左右される。本研究は、集団におけるこうした行動の伝搬メカニズムの解明に資するものと考えられる。
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