研究課題/領域番号 |
19K13675
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
若森 直樹 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (50770921)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 合併 / 企業結合 / 補完性 / Compatible Mergers / Compatible merger / シナジー(相乗効果) / 競争政策 / 公共調達 / 電力産業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,企業間の相乗(シナジー)効果の源泉を探り,そのシナジー効果が企業の行動にどのような影響を与えるのか,またそれらを所与にした時にどのような政策をデザインするべきか,を明らかにすることにある.より具体的には,現代日本の公共調達や戦前の電力産業のデータを用いて,「どのような企業間でジョイントベンチャーや合併が起こりやすいのか?」「どのような属性を持った企業が協業・合併するとより高いシナジーが発生させることができるのか?」,「ジョイントベンチャーや合併による企業数の減少に伴う弊害を加味しても,協業や合併を促進するだけの十分な社会的便益があるのか?」等の学術的かつ政策的な疑問に答える.
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研究成果の概要 |
本研究は企業間のシナジー(相乗効果)の源泉を探り、そのシナジーが企業間の合併などの企業行動にどのような影響を与えるのか、そしてシナジーが政策のデザイン上どのような意味を持つのか、という点を実証分析を通じて明らかにすることであった。公正取引員会が存在せず合併が頻繁に起こっていた戦前の電力産業の合併のデータを用いた研究から、生産設備(有形資産)や顧客(無形資産)に補完性がある場合にシナジー(費用節約効果や生産量拡大効果)が生じるものの、合併の意思決定は地理的隣接性により強く依存していることがわかった。これは合併により市場支配力が高まる可能性が高いことを示しており、競争政策の必要性を示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、どのような合併でもシナジーが生じるわけではなく、合併前の各企業が所有する資産に補完性がある場合(例えば、生産設備の強みが異なっていたり、リーチできる顧客層が異なっている場合)に限ってシナジーが生じることを明らかにした点である。従来のデータでは、そのような企業の合併前後の費用構造や販売先が観察されることは稀で、今回のように詳細なデータを用いて企業間のシナジーの源泉を明らかにしてた点は学術的評価も高いと考えられる。また一連の学術的発見は、公正取引委員会が行っている企業結合審査に一定の合理性があることを意味しており、それが本研究の社会的意義と考えられる。
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