研究課題/領域番号 |
19K13696
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
遠山 祐太 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授(テニュアトラック) (40834015)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 排出権取引 / 構造推定 / 環境政策 / 環境税 / 産業組織論 / 応用計量経済学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、排出権取引制度に代表される市場メカニズムを活用した環境政策の経済評価を行う。研究の第一段階として、排出権取引制度下における企業行動の実証モデル及び構造推定手法を開発する。その上で、シミュレーション分析を用いて以下の二課題について分析を行う。(1) 排出物による健康・環境被害が発生場所によって異なる場合にどのような市場設計を行うべきかについて検討する。(2) 市場における排出権価格の不確実性が、規制企業の環境投資へ与える影響を評価する。また、排出権価格の不確実性を低減させる手法として提案されている制度(上限・下限価格制度など)の有効性について評価する。
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研究成果の概要 |
本研究は、産業組織論における構造推定アプローチを用いて、市場メカニズムを用いた環境政策の経済評価を行った。具体的には、排出権取引制度における動学的な企業行動、及び排出権市場における取引費用を考慮した経済評価のフレームワークを構築し、米国の二酸化硫黄取引制度(Acid Rain Program)の政策評価を行った。分析結果から、排出権取引の代替政策として期間を通じて税率が一定である環境税のシミュレーションを行ったところ、「取引費用が存在しない排出権取引制度」という理想的な状況とほぼ同レベルの総生産費用が達成できることがわかった。関連して、製造業のエネルギー増進型生産性に関する実証分析を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究における学術的意義は、排出権取引下における企業行動の動学的な側面に着目を当てて実証分析を行った点である。先行研究では静学的モデルにおける分析が中心である一方、本研究の枠組みおいては、排出権の貯蔵や汚染削減技術への投資などの動学的な意思決定について分析を行うことができる。論文においては二酸化硫黄の排出権取引制度に着目した実証分析を行ったものの、枠組み自体は応用範囲が広い。特に、今後重要となるであろう二酸化炭素の排出権取引制度の政策評価にも本研究成果を用いることができ、社会的意義も大きいと考えられる。
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