研究課題/領域番号 |
19K13701
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 京都産業大学 (2021-2022) 京都先端科学大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
池田 晃彦 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (20825799)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 新興国 / 借入制約 / 金融政策 / 政策協調 / 為替政策 / 固定相場制 / 資産価格 / 為替介入 / 為替相場制度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新興国の景気安定化の観点から、同地域の特性をふまえた為替政策(固定相場制・変動相場制等の選択)および金融政策を提言することを目的とする。まず、新興国にみられる固定相場制の評価を行うため、モデルに固定相場制と新興国特有の経済構造を示す要素を盛り込み、各種のショックを与えた際の厚生をシミュレーションにより求めて変動相場制の場合と比較する。特に、固定相場制による中間財輸入価格の安定化や借入制約の緩和に注目する予定である。これらの分析によって固定相場制に一定の合理性が確認された場合には、さらに名目為替レート安定化を目標として含めた金融政策ルールの政策評価を行う。
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研究実績の概要 |
令和4年度は金融危機防止のための国際政策協調に関する研究について、これまでのモデルを修正する作業を行った。以前と同様に小国開放経済のモデルを利用し、自国が外貨建ての対外借入れに依存し借入制約に直面する設定としたが、政策協調の形態として新たに流動性の供給と信用保証の二つの方法について検討した。さらに、令和3年度中に査読者や学会参加者から受けたコメントをふまえ、加盟国間の景気循環の相関との関連や厚生への影響についてもより詳細な検討を行った。これらの新たな設定を用いてシミュレーション分析を行った結果、いずれの政策も加盟国の金融危機の確率を引き下げる場合が多いことが明らかとなった。特に、加盟国の景気循環の間に正の相関があり、かつその変動率が近い値となっている場合、金融危機防止の効果が大きくなるとの結果となった。このことから、経済の諸条件が類似し景気が連動しやすい近隣国間での経済協力について一定の有効性が示唆された。以上の結果について令和4年12月に日本国際経済学会関西支部にて発表を行い、令和5年3月に国際学術雑誌への投稿を完了して査読中となっている。 また、金融政策の効果検証との関連で用いている担保制約と交易条件に注目したモデルについても改良を行った。同モデルによるシミュレーションでは、新興国における交易条件の悪化が実質減価や金利プレミアムの上昇を通じて借入制約の緊縮化を引き起こし、資本流入の急停止につながりうることや、その効果が国の債務残高および貿易財消費割合によって変化することが示された。これらの結果については令和4年6月に国際学会 Western Economic Association International にて発表を行い、そこで得たコメントをもとに追加の分析作業を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金融危機防止のための国際政策協調に関する研究について、モデルの改訂および発表を経て投稿を完了し、また担保制約および交易条件に注目したモデルについても学会発表を行って改訂が進んでいることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
国際政策協調に関する研究については査読結果に応じて改訂・再投稿作業を進める。また、担保制約および交易条件に注目したモデルについては再度の改訂を行って国内外での発表を行う予定である。
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