研究課題/領域番号 |
19K13719
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
田中 万理 一橋大学, 経済研究所, 准教授 (70792688)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 教育 / 市場設計 / 入学選抜制度 / 人的資本形成 / 旧制高等学校 / 入試選抜制度設計 / 地域間格差 / 入学選抜制度設計 |
研究開始時の研究の概要 |
政府が高等教育に投じられる資源が限られている場合、これを有用かつ公平に配分するためにはどのような入学者選抜制度が最適だろうか。従来は学校が独自に選抜を行う学校分権型制度が一般的であったが、近年多くの国々で受験者の学校選好や成績などに基づき国家レベルで各学校への入学者を決定する統一選抜制度が導入されている。これらの選抜制度については、市場設計分野で理論的な分析が進んでいるが、実際の制度変化の影響についての実証研究は少なく、さらにその長期的な効果は解明されていない。本研究では、そのような統一選抜制度が日本で導入されていたことに着目し、関連データを収集し短期的・長期的な影響について実証研究を行う。
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研究成果の概要 |
高等教育にかかる限られた国の資源を有用かつ公平に配分するためにはどのような方法で入学者を選抜するべきなのか。日本の明治後期から昭和初期の旧制高等学校の入学者選抜制度は、地方分権的な学校別の選抜方式と能力主義的な統一選抜制度が入れ替わり導入されていた。本研究では、関連データを収集し、制度変化の短期的・長期的な影響について市場設計理論的仮説に基づいた実証研究を行った。実証分析から、能力主義的な選抜方式は階層移動の地域間格差を拡大させたと同時に、同じ教育資源を用いてより多くの優秀な人材を育成した可能性も示唆されるエビデンスが得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで経済学の市場設計の分野では統一選抜制度に関する理論研究が盛んに行なわれてきたが、実際に起こった入試制度の変更事例を用いた実証研究は非常に少ない。さらに、日本の旧制高校の入試制度に関しては、近年の経済学の市場設計の分野で発展した理論的な枠組みにより分析を行った研究はこれまでなかった。分析の結果、能力主義的な入学者選抜はエリート層の地域構成に影響を与えたが、それと同時に、同じ教育資源を用いてより多くの優秀な人材を育成した可能性も分析から明らかになった。この結果は、能力主義的選抜と教育機会の平等との間にはトレードオフが存在したことを示している。
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