研究課題/領域番号 |
19K13749
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 同志社大学 (2022) 大阪産業大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
久納 誠矢 同志社大学, 商学部, 准教授 (70774735)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アルゴリズム取引 / 最適執行問題 / 取引所外取引 / 指値注文板 / 最適執行 / 投資家行動 / プリンシパル・エージェント問題 / ダークプール |
研究開始時の研究の概要 |
証券を大量に執行する必要のある機関投資家は、一度に執行する量が大量であるが故に取引所における需給の不一致により価格に影響を与えてしまう。このような投資家は通常の取引所以外での複数の取引の機会が存在することによって、相場操縦により利益を得ることが実質的には可能である。このような相場操縦行為に対して罰則が存在する一方で、罰則に比べ相場操縦行為を行うことに対するインセンティブが高ければ、罰則覚悟で市場を乱し利益を追求する主体も現れる。本研究ではこのようなインセンティブをなくすような取引所外取引における手数料体系の構築及び相場操縦による課徴金(以下罰則金)の定量的な構築や規制への考察を行う。
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研究実績の概要 |
近年の証券取引の高速化や、取引所以外の様々な「取引の場」を用いた取引が可能となったことから、投資家の意図に関わらず不正取引が行いやすい環境となっている。このような環境下において、法律による規制・罰則を強化することにより、ある程度の取引市場の公正及び効率性は保たれている一方、高速取引や自動取引による「意図せざる」不正取引については、制御をすることへの難しさを持ち合わせている。本研究においては、大量の株式の取引・執行を行う年金基金や信託銀行等の機関投資家が、効率的・最適な執行をおこなうとした仮定の下で、取引所外の取引がどのような形態であれば、すなわちどれほどの手数料を投資家に要求すれば意図せざる不正取引をも防ぐことができるのかについての考察を行っている。 具体的には、取引所における価格を参照する取引所外の取引を、取引所取引と並行して用いる事により、原理的には容易に相場操縦が可能となることから、証券の大量の注文で価格に影響を与えてしまう機関投資家が、取引所外の取引の場を利用した自動取引により、どれほどの利益をこの相場操縦によりあげることが可能であるかを算出し、これを取引所外の「取引の場」を提供する主体が設定する手数料として与えている。 さらに、様々な価格モデルを用いこの手数料をバックテストにより数値的に示しており、これにより設定する価格モデルによって、相場操縦をおこなうことのできない取引所外取引における手数料水準が大きく変わることを示した。また、用いる価格モデルにおけるパラメータを異なる市場環境の下で様々に推定することで、用いる市場環境により手数料が影響を受けることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「取引の場」を提供する主体が設定する手数料体系について、精密なバックテストを行うことにより、より正確な手数料の導出が可能となるが、これまでの研究において、価格モデルに用いるパラメータの推定を行わず、一般的議論にとどまっていたため、出た数値についての考察を与えることが困難であった。研究を進めるにあたり、市場における環境と用いる価格モデルのパラメータの間の関係及び、それを用いる事により手数料がどのように構築されていくのかについて、より深い考察を与える必要が出たため、一昨年度に引き続きプリンシパルエージェントにおけるプリンシパル視点での考察に留まっており、エージェント視点での検証・考察には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はセルサイドの視点における手数料体系の設定である。バイサイド視点すなわち、セルサイドが操縦を行う可能性を考慮した下における手数料体系の構築はなされていない。双方の視点より、均衡についての考察を行うことを目標としていることから、セルサイドの投資行動原理を調べ、それをもとに、バイサイドがどのような取引の場を用いるのかを考える必要がある。
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