研究課題/領域番号 |
19K13753
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
諸田 博昭 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (70785089)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 貨幣史 / 金融史 / 金融市場の安定 / 内部貨幣の創出 / ギルド的規制と市場秩序 / 短資市場 / 中国史 / 外為市場 / 中国近現代金融史 / 在来金融機関 / 同業間貸借市場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、開港以降の中国における在来の金融機関の銭荘の組織した同業間貸借市場である銭行に着目し、その運営の実態や、金利の動向を実証的に解明することで、法規と市場の自律的な活動の如何なる相互関係によって、金融市場の秩序が形成されたのか、その一端を明らかにすることを企図したものである。具体的な枠組みは、(A)銭行の運営の実態解明、(B)銭行の金利の変動要因の分析、の2つである。
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研究成果の概要 |
本研究は、開港以降の中国における在来の金融機関の銭荘、及び銭荘の組織した同業間貸借市場に着目し、その運営の実態や、金利の動向を実証的に解明することで、法規と市場の自律的な活動の如何なる相互関係によって、金融市場の秩序が形成されたのか、その一端を明らかにすることを企図したものである。本研究によって、①20世紀戦間期の上海において、明文化された全国画一的な法律以外に、ギルド的規制が貨幣流通に大きく寄与していたこと、②上海の標準的短期金利は、政府機関が鋳造した貨幣ではなく、民間業者が鋳造した貨幣の供給量に規定されていたことなどが判明した。この成果は、次の科研プロジェクトで更に発展させる予定である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究課題の根底には、特定の貨幣が一般的受容性を持つに至る過程、及びその貨幣の需給バランスを示す利子率の望ましい水準の検討など、貨幣論・金融論とも重なる問題意識がある。貨幣の一般的受容性については、政治権力の貨幣流通への影響力を重視する貨幣国定説やMMTがある一方、民間における自生的な決済機構との親和性を重視する説もあり、上記の問いは昨今の世界的な財政赤字の増大などとも関連して盛んに議論されている。19世紀後半~20世紀前半の中国の貨幣史研究は、このような現代的問題についての理解を深める上でも重要な意義を持つもので、本研究は金融論と経済史の橋渡しの役割を果たすものでもある。
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