研究課題/領域番号 |
19K13755
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
高島 正憲 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (70816511)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 経済史 / 日本経済史 / 賃金 / 実質賃金 / 生活水準 / 格差 / 物価 / 労働 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,古代から近代初頭までの賃金に関する長期の賃金のデータベースを整備し,それをもとにして推計された実質賃金の時系列データについて計量的な実証分析をおこなうものである。特徴としては,(i) 構築されるデータは1000年以上の長期系列となること,(ii) 前近代における賃金労働者の成立が歴史的にどのような経緯で成立したのかを検討すること,(iii) 同様の研究が進んでいる各国の研究成果と合わせ,グローバルヒストリーの議論に寄与すること,があげられる。
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研究成果の概要 |
明治以前における賃金データの推計と整備をおこない,それにもとづく前近代日本の賃労働を概観するという本研究課題の目的は達成した。 長期の賃金の推移を時代ごとの特徴で概観すれば,古代においては貴族層とそれ以外の官人・農民層との間に極めて大きい所得格差が確認された。中世は,京都・畿内地域における米価,熟練/非熟練労働者の実質賃金を推計し,熟練には長期的には貨幣賃金の底上げが,短期的には米払賃金への移行があったが,非熟練には観察できなかった。近世については,相対的な実質賃金の低下が確認されたが,一方で副業による世帯収入や経済成長にともなう労働市場の変化とあわせた分析視角の可能性を確認することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義としては,これまで近世を中心に議論されてきた明治以前日本における賃金史研究を古代中世にまでさかのぼって数量分析をしたことで,前近代の賃金史研究を長期の視点にたって可視化したことがあげられる。特に資料が豊富であるものの数量分析が困難であった中世について,米価/賃金データを整備し,熟練/非熟練労働者の実質賃金の長期系列を作成したことの意義は大きいと自負する。 社会的意義は,近年における物価の急激な上昇という局面において,物価,賃金(名目賃金,実質賃金),格差,生活水準などの現代的な課題に対して,歴史的な観点からのインプリケーションを与える材料を提供したことにある。
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