研究課題/領域番号 |
19K13757
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
矢島 桂 富山大学, 学術研究部社会科学系, 准教授 (20707103)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 資本輸出 / 資本市場 / 植民地支配 / 昭和恐慌 / 朝鮮殖産銀行 / 経済政策 / 植民地投資 / 植民地貿易 / 山一証券 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,昭和恐慌が深刻化した要因を日本の植民地支配から問うものである。とりわけ日本の朝鮮への植民地投資が朝鮮からの米穀移入をもたらすことで昭和恐慌を深刻化させ,農村を疲弊させていった過程を詳らかにする。昭和恐慌期に深刻な問題となった米価暴落は朝鮮米移入がその一因をなしており,米価対策として植民地米移入への制限が盛んに議論された。他方で,日本から朝鮮への主要な植民地投資は特殊銀行・国策会社である朝鮮殖産銀行・東洋拓殖株式会社の債券に向けられており,そうした資金は朝鮮内で主に農業に投じられていた。そのため昭和恐慌期における朝鮮米移入対策は,植民地投資の利害が関係すると考えられる。
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研究成果の概要 |
本研究は,昭和農業恐慌が深刻化した要因を日本の植民地支配から問うこととし,日本から朝鮮への資本輸出の実態解明を進めた。日本から朝鮮への資本輸出の主要経路である,朝鮮殖産銀行の債券発行高のうち約50%について金融機関の保有を認め,東洋拓殖株式会社の債券もそのうち約10%まで金融機関による保有を確認した。こうした資本輸出は朝鮮での農業生産に投じられ,米穀移入の増大をもたらしたが,昭和農業恐慌下で米価を圧迫して恐慌を深刻化させることとなった。本研究において,米穀移入をもたらした資本輸出の実態の一端を把握したことで,昭和農業恐慌が深刻化した要因を日本の帝国経済構造に求めて分析する研究の進展をみた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,戦間期における日本ー朝鮮間の米穀貿易と資本輸出入に焦点を当て,とりわけ朝鮮殖産銀行と東洋拓殖㈱が発行した債券の保有者の特定を試みた。日本から朝鮮に向かう資本輸出の主要経路であったこれら債券についてはこれまで実証的には明らかではなく,また朝鮮殖産銀行と東拓は対日米穀移出増大のために調達した資金を朝鮮農業へ投じたことから,この資本輸出の実態を把握することにより日本の帝国経済構造を把握し,その構造の矛盾から昭和農業恐慌が深刻化した要因を検討することできる。この点において,本研究は,日本の帝国経済構造,及び昭和農業恐慌の研究の進展に資することが期待される。
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