研究課題/領域番号 |
19K13761
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
小谷 健一郎 千葉商科大学, 商経学部, 講師 (10782188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アパレル産業 / 縫製加工業 / 岐阜産地 / 岐阜アパレル産地 / アパレル物流加工業 / 衣料品プレス加工業 / 産地ネットワーク組織 / 組織能力 / 地方型アパレル産地 / 地場産業 / 経営発展 / 衣料縫製業 / 経営史 / 地域産業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高度大衆消費社会の象徴的産業ともいえるアパレル産業において、いかに地方のアパレル産地が最終顧客の需要創造をなしえて産業発展したのかという課題について、岐阜産地を事例に戦後日本の「地方型」アパレル産業の形成と発展を検討する。 研究手法は地場産業論を援用した経営史的アプローチを用いて産地の社会的分業構造の変化と産地アパレル企業の組織能力の構築プロセスについて分析する。これらの研究を通じて、従来の先行研究で明らかにされてきた「都市型」アパレル産業とは異なる、もう一つのアパレル産業ともいえる「地方型」アパレル産業発展のダイナミズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、中小企業近代化政策における岐阜縫製業の対応について研究した。研究課題は、1960年代後半以降、日本有数のコモディティアパレル産地へと発展した岐阜産地において、どのように縫製業が組織化され、どのような事業展開を行い、なぜ縫製企業として組織能力を構築できたのかを明らかにすることを目的とした。 事例とした協業組合において、組合結成以前の各社は、個人経営で従業員は数名程度、取引先は岐阜の中堅アパレル企業1社に依存した典型的な岐阜の縫製企業であった。近隣に同業者が多数存在するなかで、組合に参加した経営者は、今後の企業としての生き残りに強い危機感を持っていた。こうしたことを背景に事例とした協業組合は設立された。 この協業組合は、零細家内工業から近代的な縫製企業へと転換するため、組織能力の構築を図った。第一には経営面への投資である。組合幹部は経営能力向上のため、各種研修会を受講し、縫製技術の指導を受けた。また、経営組織も営業、生産、技術といった職能別組織を構築した。第二は生産面への投資である。ミシンメーカー指導のもと、生産工程では自社一貫生産体制を構築し、大量で高品質な衣料品生産を可能とした。また、生産品目も、カジュアル衣料の縫製から高品質な縫製が要求されるフォーマルウェアに変更した。第三は販売面への投資である。組合設立以前は、岐阜のアパレル企業が主要取引先であったが、組合設立以後は、工賃の高い東京のアパレル企業が主要取引先となった。その後、事例とした協業組合は東北地方にも工場を建設し、1990年代は中国にも進出した。 このように本事例は、岐阜縫製業において、零細家内工業から近代的縫製企業へと経営発展した事例と位置づけられ、組織化し産地構造の変化に対応することで、岐阜産地を代表する縫製企業へと経営発展した原動力を組織能力の視点から明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒアリングや現地調査で当初計画から遅れが生じている影響で論文執筆が遅れており、総合的な評価としてやや遅れた状況となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、アパレル企業や縫製業、アパレル関連企業、業界団体等へのインタビューを実施したうえで、研究成果を日本流通学会等で発表し、論文化する計画である。
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