研究課題/領域番号 |
19K13796
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 東京都立大学 (2022) 茨城大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
加藤 崇徳 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (70801992)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 時間志向性 / 長期志向性 / 企業多角化 / テキスト分析 / トップ・マネジメント・チーム / 近視眼的経営 / 全社戦略 / 経営者の時間志向性 / シナジー効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,経営者の時間志向性が企業多角化に与える影響を実証的に検討することである.より具体的には,経営者が長期志向になるほど,企業多角化の程度が高くなるという仮説を検証する. これまで経営者の長期志向性や短期志向性(時間志向性)という言葉は頻繁に用いられ,その重要性が示唆されていた. しかし,その測定困難性から,時間志向性そのものに研究の焦点が当てられてはこなかった.本研究は,アナリストによる経営者への電話インタビュー内容を公開したEarnings Call Transcriptを計量テキスト分析することで,経営者の時間志向性を測定し,それが企業多角化に与える影響を検証する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,経営者の時間志向性(長期志向性・短期志向性)が企業多角化に与える影響を実証的に検討することにある.本研究では,経営者の時間志向性を,従来の研究でよく用いられているletter to shareholders(『株主の皆様へ』)ではなく,アナリストと経営者の直接的な対話内容であるEarnings Call Transcriptを利用したテキスト分析によって測定する.これによって,経営者自らが記述したわけではないテキスト(例えば『株主の皆様へ』)を分析するのではなく,彼ら自身が発言した内容を分析でき,経営者がどれくらい長期(短期)で経営を考えているのかをより妥当に測定できるようになると考えられる.測定を終えた後は,経営者の時間志向性が,経営者による重要な意思決定の1つである企業多角化の程度にどのような影響を与えるのかを検証していく. 2022年度に行った活動は,当初の研究計画通り,データベース作成作業である.このデータベース作成作業は,大きく2つに分けられる.第1に,従属変数である企業多角化変数の作成・修正と財務データを用いた統制変数の作成.S&P社のCapital IQ(Compustat)というデータベースを用いて,大規模な米国企業の財務情報と,関連多角化・非関連多角化の程度を測定している.また,研究に必要となる統制変数(例えば,トップ・マネジメント・チームの人数や属性)なども作成した. 第2に,経営者の時間志向性についての変数修正作業である. Compustat(及びseekingα)を用いて,2008年以降のEarnings Call Transcriptを入手し,総行数2300万行弱のテキスト・データベースの作成を行い,各テキストの発言時期と発言者を特定するデータクリーニング作業ののちに,経営者の時間志向性を測定する単語カウントなどを行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,大型データベースの作成と修正作業を進めていった.元データの収集は完了し,Pythonによる一括処理でコーディング等は終わらせていたものの,オリジナル・データそのものの不備(発言者の肩書きが発言当時のものではないことがあり,本来CEOの人物の発言が執行役員のものになってしまっているなど)が多く発見されてしまい,想定以上に手作業による修正作業を要することになった.作成した発言データベースが2300万行ほどあり,表記揺れや当時の肩書などを逐一調査する必要があったため,若干進捗が遅れてしまった,しかしながら,発言者が誰であるかについての情報は本研究にとって最も重要な点あり,いったんデータベースが完成さえすれば多くの論文を執筆できる体制が整うため,慎重に整備を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,テキスト・データのコーディングやデータベースの修正等が終わり次第分析作業に入り,その結果を国内外の研究会・学会で発表する予定である.それらのフィードバックを経て,より完成度の高い分析にしたのち,論文の執筆に入りたい.この際,研究協力者を募ることによって,データベースの完了・修正作業をより素早く行う体制を整えることも検討している.
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