研究課題/領域番号 |
19K13827
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
田部 渓哉 城西大学, 経営学部, 准教授 (50706728)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ネイティブ広告 / メディア / 消費者行動 / 記事体広告 / メディア比較 / 広告倫理 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、記事に類似した体裁の広告表現をめぐる議論は、オーディエンスにとってストレスなく受け入れやすいという肯定的な立場と、誤解を招きやすく欺瞞的であるという否定的な立場に分かれており、その広告効果や社会的意義について確固たる研究基盤が十分に育まれてこなかった。本研究では、オンラインで展開されるネイティブ広告を「情報コンテンツの外形を装った広告」の一種と看做し、新聞や雑誌などの従来媒体で展開される記事体広告と比較しながら、上記の齟齬を解消するための知見を広げる。具体的な検討内容としては、関係者への聞き取りや、オーディエンスに対する実験調査を通じた定量分析を行なう予定である。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、消費者へのアンケート調査を通じて得たデータをもとに、ネイティブ広告の効果に関する研究を続けている。ネイティブ広告はコンテンツに溶け込んでいるためストレスがなく、記事と同様の情報的な価値があるといった見方がある一方、コンテンツそのものと誤解を招きやすく、欺瞞的であるとも指摘されている。こうした二面性のあるネイティブ広告に対する消費者の反応について、説得知識を手がかりとした分析を試みた。説得知識とは、メッセージの受け手が「メッセージの送り手が説得する意図を持っている」と自覚する程度である。オーディエンスがネイティブ広告を記事と認識するほど、広告されている商品や広告主に対して好意的な態度が形成されることを確認し、この点を日本広告学会の学術論文「広告科学」で査読付き論文として公表した。この成果をベースとして、広告効果の媒体間比較に進む計画である。伝統的なメディアのタイアップ広告(記事体広告)が、オンラインのネイティブ広告とどのような違いをもって受け入れられているかについて、実証的に明らかにする。そのための準備として、広告に関して媒体間の効果比較を行った実証研究を渉猟してレビューを行い、これまでの研究で頻繁に用いられている理論的背景を整理して、日本広告学会と日本商業学会が共催した学会(部会)で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ネイティブ広告と伝統的な広告の効果を媒体間で比較するための、アンケート調査を行う計画であった。その調査では、回答者が現実感をもって回答できるよう、実際に販売されている商品を用いてアンケートを作成する計画であった。そのために、実際に商品を発売しているメーカーと交渉して、商品画像や商品名をアンケートで使用する許諾と、回答者のデータを研究目的で分析することの許諾を得る必要があった。これらの許諾を得ることが難しく、時間を要したため、研究が遅れた。またダミーのネイティブ広告を作成し、それを広告刺激として用いた調査を行う計画であったため、オンラインコンテンツの制作実績がある会社に見積もり作成を依頼した。ここでの金額が当初の計画より高額であったため、より安価に制作するように計画を変更する必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
国内の飲料メーカー1社から、商品画像や商品名をアンケートで使用する許諾と、回答者のデータを研究目的で分析することの許諾が得られたため、広告刺激の問題は解消している。媒体間で比較可能な変数を精緻化して調査項目を確定していく必要はあるが、アンケート調査そのものの実施は可能となった。またオンラインコンテンツとして必要であったダミーのネイティブ広告も、プロトタイプの制作は完了している。今後、これと同一内容で、ダミーの記事体広告を作成する必要があるが、オンラインコンテンツの作成ほどの時間は要さないと考えられる。これらの準備が整うことで、大規模なアンケート調査の実施に移行でき、そこから得られたデータの解析によって、研究目的を達成できる見込みである。
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