研究課題/領域番号 |
19K13832
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
田中 智晃 東京経済大学, 経営学部, 教授 (50609188)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 流通史 / 楽器 / 流通系列化 / 流通革命 / ヤマハ会 / 新見楽器 / ピアノ産業 / 卸商 / マーケティング / 特約店 / ヤマハ / シニア / 楽器流通 / 楽器市場 / 卸売会社 / 産業構造 / イノベーション / 自動演奏ピアノ / 商業史 / 流通 / 系列店 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はメーカーによる流通支配が徹底できない、日本の固有の状況は何なのかを解明することであり、楽器産業における卸商と特約店団体の役割を検討し、日本の楽器産業に関する研究を深めることである。 意義は、日本の流通経済の中で発生した「関係的契約」を歴史資料から詳細に分析することで、卸商の存在理由、小売店の自立性の意味を明らかにすることである。日本の流通はアメリカと比較して、複雑で、流通経路が長いことが指摘されているが、これは歴史的な背景をもとに成立っているのであって、日本の流通機構が遅れているためではない。本研究によって、日本の流通機構の成り立ちの一端を示し、今後の流通システムの在り方を提示する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は趣向性が高い楽器販売において、日本の卸商や小売店がどのようにメーカーと対峙してきたのかを分析することであった。卸売商の中にはメーカーのマーケティング戦略が自らの経営基盤を弱体化させることを理解しつつ、新しい時代の卸商に進化した企業があったことを新見楽器の歴史から明らかにした。一方で、メーカーの戦略に同調した特約店団体(ヤマハ会)は、ヤマハ製品の優先販売を認めつつ、他メーカー商品の販売を止めることはなく、卸商との取引を継続した。本研究ではこの辺りが、家電産業で見られた流通系列化とは異なり、徹底した形でメーカーの流通支配が進行しなかった楽器業界の特徴であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの流通論においては、日本においても、流通系列化や流通革命が起きる中で、中間業者のビジネスは縮小し、アメリカ的な経路の短い流通が形成されるものと考えられてきた。しかし、楽器業界では中間業者である卸商の存在こそが、合理的な流通を実現する上で重要であったことが分かった。現代の市場は多くの商品群において、多様なニーズをもった消費者によって形成されている。これは、趣向性の高い楽器市場と同じ状況に近づいているのであり、本研究において明らかにされた流通史は、多くの先進国で見られる巨大メーカーと大規模小売店による流通支配を見直すきっかけになる可能性がある。
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