研究課題/領域番号 |
19K13836
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
磯田 友里子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (40822200)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 時間と消費 / 時短 / 時間配分 / 消費者行動 / シニア市場 / 時間資源 / 時間マーケティング |
研究開始時の研究の概要 |
時間は金銭同様、消費者が持つ有限の資源であり、購買行動を規定する重要な要因である。にもかかわらず、マーケティングや消費者行動研究の分野では、消費者を時間資源配分の主体と捉え、購買行動について論じた研究はほとんど行われていない。近年時間価値は増大しており、時間を金銭で買ったり、逆に消費者自身がシェアリングサービス等で時間を切り売りしたりする行動が頻繁に観察されるようになった。つまり、今日の消費者行動を理解するにあたり、時間と消費の関係解明が喫緊の課題となっている。本研究は、消費者の時間資源配分戦略と購買行動の関係を解明し、マーケティング分野における時間研究の基礎を構築するものである。
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研究実績の概要 |
2022年度は学会発表2回と論文1編の出版を行った。学会発表は、日本消費者行動研究学会にて「消費者行動研究における「時間」―KHCoderによる分析」というタイトルで、マーケティング・消費者行動研究領域における既存の時間関連研究を対象に、計量テキスト分析ソフト「KHCoder」を用いて行った分析の結果を報告した。より具体的には、対象となるジャーナルのアブストラクトを抽出し、共起ネットワーク分析の結果やコロケーション統計を確認し、時間に関わる重要なトピックをコード化した。次に、これらのコードに基づき、アブストラクトを対象にクロス集計やクラスター分析を実施した。その結果、80年代には時間を消費者資源と捉える経済学的潮流を汲んだ研究が盛んであったものの、90年代以降は時間を消費者行動のコンテクストとして捉える心理学的潮流を汲んだ研究が主流となっていることが明らかになった。 また、日本認知心理学会消費者行動研究部会にて、「マクロな時間とミクロな時間-消費者行動と時間の関係をどう読み解くか」と題して、消費者行動研究領域における時間研究の歴史と課題について講演を行った。現在、当発表内容をを展望論文として執筆し、投稿・査読中である。 論文は「シニア市場の多様性分析 ―未来展望と将来自己連続性の観点から―」とういうタイトルで、マーケティングジャーナルに掲載された。本論文は、シニア女性の時間に対する知覚が購買行動に与える影響を、実際の企業の購買データを用いて明らかにしたものである。本研究では、シニア市場はひとつの同質な市場として語られることが多いが、シニア層内にも多様性が存在しており、とりわけ「人生に残された時間をどのくらいか」「将来の自分と現在の自分にどのくらい連続性があるか」という時間に関わる知覚が、シニアの購買行動に違いをもたらす可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、インタビュー実施計画を見直さざるを得なかったため。インタビュー参加者の多様性確保と実施効率化のため、インタビュー参加者の方法を変更したが、変更に伴う再度の倫理審査に時間がかかったことも実施が遅れている要因のひとつである。
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今後の研究の推進方策 |
サンプリング計画を変更する。具体的には、調査会社を通してインタビュー参加者を募り、サンプル間の比較ができるようデザインするのと同時に、スノーボールサンプリングを実施し調査会社へ登録していない消費者へのアクセスも試みる。 6月中にインタビューを実施し、夏にコーディング、秋には分析を終了し学会発表のうえ、論文の執筆にとりかかる予定である。
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