研究課題/領域番号 |
19K13851
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三輪 一統 大阪大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (00748296)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 会計学 / 財務会計 / ディスクロージャー |
研究開始時の研究の概要 |
企業のイノベーション活動をめぐっては,関連情報をライバル企業に知られてしまうと,知識のスピルオーバーが生じ,新技術等を模倣されるといった不利益を被る可能性がある.しかし他方で,企業はイノベーション関連情報を積極的に開示しているという実証結果も存在する.本研究では,イノベーション関連情報の開示にかかる企業のインセンティブ構造がどのようになっているのかを,ライバル企業との相互作用という観点から,数理モデル分析および経済実験の手法を用いて検討する.
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研究実績の概要 |
2022年度は,イノベーション関連情報についての企業の開示インセンティブに関する理論研究に取り組んだ.具体的には,n社の企業が数量競争に従事している寡占市場において,イノベーションに成功して新技術を開発した企業が,その情報を公的に開示するインセンティブを有するかどうかを,モデル分析により検討している.本モデルの特徴の1つめは,技術競争と製品市場競争という,2つの競争のタイプの影響を分けて考察していることである.本モデルの特徴の2つめは,企業(経営者)の目的が,短期的な株価の最大化の場合と,長期的な利潤の最大化の場合とを分析していることである.このようなモデルを分析することにより,本研究では次のことを明らかにしている.まず,企業が長期的な利潤最大化を目的としている場合,企業の情報開示インセンティブに対して,技術競争はネガティブな影響を与え,製品市場競争はポジティブな影響を与える傾向がある.つまり,技術競争の程度が高まるほど,より情報開示がおこなわれにくくなり,製品市場競争の程度が高まるほど,より情報開示がおこなわれやすくなることが示唆される.他方で,企業が短期的な株価最大化を目的としている場合は,いずれの競争のタイプも,情報開示インセンティブにネガティブな影響を与える.また,全体として,企業が短期的な株価最大化を目的としている場合のほうが,長期的な利潤最大化を目的としている場合と比較して,より開示がおこなわれやすい.本研究の分析結果は,イノベーション関連情報をめぐる企業の開示行動が,企業が直面している競争のタイプや,企業の目的といった要因に依存することを示唆しており,最近の実証研究で得られている知見とも整合的である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は,企業のイノベーション活動とその関連情報の開示に関する理論研究に集中的に取り組み,一定の意義のある理論的に興味深い結果を得ることができたと考えているが,当該成果に基づく論文の掲載・公表にはまだ至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
改訂をおこなったワーキング・ペーパーについては,なるべく早い段階でジャーナルへの投稿・掲載を目指す.2022年度の研究を通じて新たに得られた成果については,速やかに論文化し,海外ジャーナルへ投稿するとともに,よりリッチな結果が得られるようモデルの拡張に取り組む.
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