研究課題/領域番号 |
19K13853
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
小野 慎一郎 大分大学, 経済学部, 准教授 (20633762)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リスク / 期待リターン / 純事業資産利益率(RNOA) / 会計原則 / ファクターモデル / 収益認識 / 資本コスト / 実現原則 / 保守主義 / バリュー株効果 / 株式益回り / 株主資本簿価/時価比率 / 割引率 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,実現原則や保守主義の原則のもとで生み出された会計情報が,リスクや期待株式リターンについての情報を伝達するという意味での有用性をもつかどうかを実証的に明らかにすることである。このために本研究では,(1)リスクや期待リターンを予測する会計変数の特定,(2)会計変数を用いた期待リターンの推定とその有効性評価,(3)保守主義による影響度合いが会計変数と期待リターンの関連性に及ぼす効果の分析,(4)四半期財務諸表に基づく営業レバレッジと期待リターンの関連性分析,という課題に取り組む。
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研究実績の概要 |
2022年度には第1に,純事業資産利益率(RNOA)に関する論文を雑誌『企業会計』で公表した。本論文では,期待事業リターンの予測で注目されるRNOAを,(1)販売活動からの売上高コア事業利益率,(2)資産回転率,(3)その他のコア事業利益,(4)非正常項目に分解して実証分析を行った。その結果,(1)~(4)の継時的パターンには違いがあり,(1)~(4)を別々に予測してからそれらを結合することでRNOA予測の正確性を高められることを示す証拠を得た。 第2に,会計原則と期待リターンの関係についての研究を進め,その論文を雑誌『証券アナリストジャーナル』に掲載した。本論文では,会計原則の特徴を生かして構築された新たなファクター(要約損益計算書ファクターと要約貸借対照表ファクター)を提示している。分析の結果,両ファクターが日本市場でうまく機能する一方で、Fama-Frenchの5ファクターモデルは両ファクターのリターンを十分に説明できないことが分かった。これらの結果は,会計原則の影響を明示的に考慮した資産価格モデルの構築が有望であることを示唆している。 第3に,実現原則と親和性が高い近年の収益認識基準に着目し,当該基準に関する海外の実証研究の動向を整理して,その論文を雑誌『産業經理』で公表した。本論文では,(1)米国で近年適用された収益認識基準(ASU 2009-13/14,ASC 606)は,平均的に見れば財務報告の品質や株式市場に好ましい効果を与えたと判断できること,(2)収益認識基準の適用は,会計的効果や株式市場への効果だけでなく,企業や規制主体の行動への実体的効果も生じさせたといえること,(3)基準適用効果は業種や開示行動によって大きく異なること,(4)ASC 606とIFRS 15の規定内容は実質的に同じだが,両基準の適用前後での変化には相違が見られることを指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リスク・期待リターン推定における会計情報の有用性に関する実証研究を行い,それらの内容を雑誌『企業会計』2022年8月号や雑誌『証券アナリストジャーナル』2022年10月号に掲載することができた。また,収益認識基準に関する実証研究のレビューを行い,その内容を雑誌『産業經理』第82巻第4号(2023年1月発行)で公表することもできた。しかし,新型コロナウイルスの流行に伴う新規業務の発生や学会大会・研究会への不参加などにより,研究の進捗に対して悪影響が生じた。その影響もあり,研究開始時に想定していた4つの課題のうち,(3)保守主義による影響度合いが会計変数と期待リターンの関連性に及ぼす効果の分析,(4)四半期財務諸表に基づく営業レバレッジと期待リターンの関連性分析について,論文を完成させることはできなかった。したがって,当初の研究計画からみると,現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」と判断し,補助事業期間延長申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
Penman and Zhang [2021, Review of Accounting Studies] やZhang and Zhang [2023, Working Paper] の枠組みに基づき,保守主義による影響度合いが会計変数と期待リターンの関連性に及ぼす効果の分析を行い,論文を完成・公表することを目指す。
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