研究課題/領域番号 |
19K13862
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
山田 哲弘 中央大学, 商学部, 准教授 (90707085)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 利益調整 / 実体的利益調整 / 国際課税 / ステークホルダー / 利益移転 / 監査報酬 / 地理的分布 / 実体的裁量行動 / 業績予想 / 租税負担削減行動 / リアルエフェクト / 自信過剰 / 租税負担削減 |
研究開始時の研究の概要 |
会計研究の多くは、資本構成や契約などの企業の性質と会計行動について分析している。しかし、実際に企業が行動している「空間」には「輸送コスト」や「制度的な差異」等の企業活動を阻害するコストが存在する。このようなコストが存在する場合には、情報伝達や物・人の輸送に追加的なコストが生じるため、企業行動が変化しうる。本研究の目的はこのような企業活動の空間、すなわち企業の「地理的な分布」が会計行動に与える影響を分析することである。 そこで本研究では、経済モデルを援用し、また子会社の所在地を特定・数値化することにより、(1)利益調整との関係、(2)租税負担削減行動との関係という2点を中心に分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、企業の地理的な分布と会計情報の関係について分析することを主な目的としている。昨年度までの研究の進捗が非常に良好であり、当初目標とされた企業の地理的な分布の直接的な会計情報(特に利益調整)への影響は分析が完了している。 このため、昨年度に引き続き2022年度は、日本企業のコンテクストに基づくコーポレートガバナンスの影響について、詳細に分析を進めた。コーポレートガバナンスは、企業が属する国や地域、あるいは企業文化のコンテクストによって、多様であり同じ仕組みを取り入れても同じような規律付けが作用するかがわからない。企業の地理的な展開を考えた際、このようなガバナンスの役割は極めて重要であり、昨年度の研究成果をもとに研究に取り組んでいる。 本年度における具体的な成果は、日本企業の多くが採用しているステークホルダー志向のコーポレート・ガバナンスを前提としたとき、その経営戦略は独特であり、結果として会計数値の解釈に注意しなければならないことが明らかとなった点である。とりわけ、本年度は実体的利益調整行動の分析指標として用いられるRoychowdhuryの代理変数がステークホルダー志向のコーポレート・ガバナンスの下ではバイアスを持つことが示された。近年、実体的利益調整に関する研究は日本でも多く行われており、本研究の発見は、利益調整行動研究における代理変数の選択やコントロールを考えるうえで非常に重要であると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初、計画した企業の地理的な分布の直接的な会計情報(特に利益調整)への影響の直接的な分析は完了している。このため、昨年度に引き続き日本企業が地理的に広く分布する(すなわち国外へ進出する)際に問題となるコーポレートガバナンスについて、研究を拡張している。
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今後の研究の推進方策 |
企業の地理的分布が利益調整に与える直接的な分析は完了しているものの、税制やコーポレート・ガバナンスに関してはまだまだ十分な分析を行うことができていない。次年度は、こうした研究をいったんまとめるために、より包括的な研究を扱うこととしたい。
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