研究課題/領域番号 |
19K13863
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小村 彰啓 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20824931)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 利益の質 / 企業不正 / ESG / CSR / SRI / 期待収益率 / 資本コスト / 企業系列 / 株式市場 |
研究開始時の研究の概要 |
企業活動の影響を受ける利害関係者の範囲は、産業のグローバル化を受けて大幅に広がっている。特に、不正行為の社会的影響は甚大である。しかし、そのような行為の兆候や、不正後に会社側が支払う代償及び経営体制・方針の変化を包括的に検証した先行研究はほとんどない。これは、企業責任に関する研究が、「良い企業を探す」という側面が強い指標を主に用いていることが背景にあり、既存研究と企業不正の頻発を受けた社会的要請とにギャップが生じている。この溝を縮めるため、本研究では、品質神話が崩れつつある日本に焦点を当て、(1)企業不正の兆候補足、(2)不正発覚後の当該企業の姿勢と資金調達コストの変化、を検証する。
|
研究成果の概要 |
企業による不正行為が社会に与える影響は甚大である。しかし、不正発覚後も新たな不正を働く日本企業が多くみられる。これ鑑みると、不正行為に対する罰則が欧米に比して軽いことや、企業側の意識変化を定量的に測定するのが困難なこと、から、姿勢を正すインセンティブが低く、これに基づき、企業側が合理的判断を下してい可能性がある。本課題の主目的の一つは、定量分析によって、なぜ企業が責任を果たさないのか理解を深めることにあった。本課題では、不正報道と企業の資金調達コストに統計的有意な関係を観測することはできなかった。これは、「業態や行為の種類によっては悪いことはやったもの勝ち」の状態であることを示している。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
行いを正さない企業が多く存在する背景の一つに、不正による将来への影響(資金調達に直結する株式市場による要求収益率の上昇、等)を会社が過小評価している可能性が考えられる。これらを検証することで、情報開示を含む今後の制度設計に寄与すると考える。さらに、持続可能な経済活動を達成するために金融市場が果たす役割は大きく、仮に企業側で自浄作用が働かないのであれば金融市場がそれを促さならず、本研究結果はその必要性の高さを示したといえる。また、大標本を用いた同様の実証研究はこれまで殆どなく、会計や金融経済など幅広い分野での議論発展に資すると考える。
|