研究課題/領域番号 |
19K13881
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
稲津 秀樹 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10707516)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 多文化社会 / 破局的状況 / 排除・差別 / 複合経験 / カタストロフィ / 阪神・淡路大震災 / 軌跡の渦巻く場所からの想像力 / 視る・聞く・歩く・想像する / 批判的想像力 / 共生の思考 / 当事者研究 / 社会的排除・差別 / 市民の創造性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多文化社会の地域での拡がりと深まりを踏まえながら、災害や戦争といった破局的状況(カタストロフィ)と、社会的排除・差別との複合経験を明らかにする調査研究を行うものである。具体的には、阪神・淡路大震災(1995年)の被災地調査を研究の出発点に据えつつも、災害に留まらない戦争、ひいてはルーツ・文化性・民族性をめぐる排除・差別の体験に関する質的調査を重ねることで、別々の経験として捉えられがちな、これらの経験の複合性と抑圧性を把握する見方を提供することを目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究の成果として、阪神・淡路大震災に限らない災禍の経験(コロナ禍、水災、戦災等)といった複数の出来事を同時に包含する観点を組み込んだ、社会学の理論と方法を、人類学や地理学といった近接領域との対話を通じて示してきたことが挙げられる。日常生活世界における「軌跡の渦巻く場所からの想像力」を捉え、これを記述することで、これまでの移民/災害研究の前提だった、単一のアクター(例:在日コリアン)、あるいは地域(例:神戸)の出来事に限定したアプローチではなく、複数のアクター、複数の地域を想像的に結び付けながら、複合差別・排除の経験を論じる社会把握・記述を可能にしたことが、本研究の最大の成果として挙げられる。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、第1に、多文化社会化の進む地域社会の破局的状況と排除・差別の複合経験はどのような経験であるか、第2に、この経験を踏まえた多文化共生論の再構想はいかにして可能となるかという課題を掲げて遂行された。計画当初は、阪神・淡路大震災との関わりを念頭に置いていたが、コロナ禍に見舞われ、調査内容の変更や遅れを余儀なくされた。だが、研究期間の実績を振り返ると、上の問いを探究する理論的・方法論的な知的貢献のみならず、港湾都市・神戸を軸におきながらも複数のアクター・複数の地域に開かれた歴史的空間的な視座をもつ批判的モノグラフを提出できたことには大きな学術面・社会的な意義があると考える。
|