研究課題/領域番号 |
19K13894
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 創価大学 (2021-2023) 立命館大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
倉橋 耕平 創価大学, 文学部, 准教授 (40783163)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 男性不妊 / 男性学 / メディア / 医療 / ジェンダー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、男性不妊に関連して、医学知識を動員して男性性を回復・復権させるメディア言説を分析することで、男性学が抱える課題を克服し、現代社会における男性性の規範的な在りようの一旦を解明するものである。 高度不妊治療が登場した90年代以降、男性不妊をめぐる言説が顕在化した。近年では一般書・雑誌・エッセイ等のメディア言説は、「男性性の危機」と医療による「男性性の回復」を主張してきた。本研究では、メディア論の知見を用い、男性の生殖/不妊をめぐる「知」の流通が男性性の再強化として機能している側面を解明する。
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研究成果の概要 |
本研究は、研究当初の目的の中でも、特に男性不妊をめぐるフィクション(物語)の分析において成果があったと考えている。先行研究でも指摘されてきたように、男性不妊への医療は当事者のスティグマを回避するようになってきた。また当事者たちも情報を入手するようになり、男性性の問題ではなく、夫婦や家族の問題と意識するようになってきた。しかし、男性不妊症が描写されるフィクションの世界(漫画、小説、映画)では、相変わらず男性の問題として描き続けられていることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本は体外受精件数もクリニック数もダントツで世界一であるにもかかわらず、成功率は世界最低水準の20%弱しかない国であるし、妊娠・不妊の知識と肯定的信念は世界最低レベルであることが報告されている。つまり、実態とイメージの間に何らかのミスマッチが生じていることが予想される。本研究が明らかにしたことは、先行する当事者への聞き取り調査と言説(一般知識や物語など)のイメージの間に乖離があるということである。もちろんそのすべてが解明できたわけではないが、男性不妊治療とそのイメージが男性性の回復を主眼としている点にもこの乖離の原因が考えられる。今後はこの乖離をどう埋めていくのかが社会的課題となる。
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