研究課題/領域番号 |
19K13910
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 (2022-2023) 立教大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
古里 由香里 お茶の水女子大学, 教学IR・教育開発・学修支援センター, 特任講師 (20793095)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 幸福感格差 / 職業威信スコア / 相対的剥奪 / 自職卑下 / 労働格差 / 準拠集団 |
研究開始時の研究の概要 |
客観的には同じ状況であるのに,格差を感じその格差に苦しむ労働者がいる一方で,格差に対し鈍感で苦しまない労働者がいるのはなぜなのか。収入や労働時間などの社会格差や,個人特性・自己責任だけで,この差はもたらされるのだろうか。この問いに対し本研究では,個々人の準拠集団である「職業」と他者との職業比較による「剥奪感」に着目し,複層的に検討することで,幸福感格差のメカニズムを明らかにする。具体的には,競争社会下で社会や他者との比較をすることにより生じる,現状と理想,自己イメージと他者イメージなど,これらの乖離を計量的に明らかにすることで,見えない社会格差の明示化を試みる。
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研究実績の概要 |
当該年度においては,昨年度発表を行った差得点に関する研究の論文執筆を行った。相対的剥奪に着目し,得られると想定したものに対して実際の差分についてどのように測定するかについての研究で,これは通常差分を取るだけで縮約されていない情報を反映させた算出について新しい提言を行うものである。現時点で掲載誌は決定していないものの,本研究の測定・分析に関わる内容となっている。 また,研究者の健康問題により昨年に引き続き本年も調査の実施には至らなかったが,学会への参加や先行研究や資料の収集により分析手法のアップデートを行った。これを踏まえ,次年度以降の研究計画に反映させるべく研究計画の見直しにも着手した。 今後の研究の展開に関する計画として,以下のことに着手する。まずは準備してきた調査計画と各調査票に関して,学内の倫理審査の受審し,同時に調査会社との調整を進める。サーベイ実験が可能な複雑なWEB調査の実績が多く,対象者を属性比率で収集可能な調査会社は限られるため,選定と調整を要する。 この調査は合理的選択理論の実験デザインを応用し,相対的剥奪の質問紙実験を行うところにも特徴がある。これは,社会生活を営むなかで発生しうる相対的剥奪状況を調査シナリオとして設定し,その疑似的刺激に対し,どのような反応をするのかを測定することで,通常の質問紙への回答では得ることが難しいデータを得るものである。そのため,このシナリオによる刺激についての倫理的配慮を慎重に行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の健康問題と調査会社との調整が難航し,予定していた調査を行うことができず,予定していた研究遂行や研究費執行できなかった。ただし,学会発表や紀要論文などの形で可能な形では研究を進めた。またこれらの進行上の課題については,最終年度において期間延長申請することで対応を行う。
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今後の研究の推進方策 |
研究が遅れているが,2波にわたって行うパネルのWEB調査の時期を変更することで対応する。この調査は,本研究の独自性でもある設計となっており,wave1・2にわけて研究期間中の長期にわたって実施される。当初2019・2020年実施予定だったWave1の調査・分析を,2024年度に行う。対象は就労が可能な18歳以上の男女で,調査対象者の基本情報や,心理変数,社会的状況などを詳細に得て,Wave2調査につながる基礎情報を固める。さらに,官庁統計データを用いたマクロ変数も組み合わせ,2024年を中心に分析を行う。 続いて,当初2021・2022年実施予定を同様に2年ずらし,2025年において,前年度までの結果を基にしたwave2のパネル調査を実施する。Wave2調査の目的は大きく二つある。パネル調査としてのデータの豊富さに加え,合理的選択理論の実験デザインを応用し,相対的剥奪の質問紙実験を行うことである。質問紙上で設計した,社会生活を営むなかで発生しうる相対的剥奪状況に対し,どのような反応をするのかを測定する。ここでは、サーベイ実験も応用し、どのような想定がどのような反応を引き出すのかを検討する。この2波のパネル調査を行うことで,日常生活での実態を測るとともに,剥奪感が促進されるような状況想定の下,それぞれの準拠集団による効果を精査することが可能となる。 2025年では,すべてのデータが揃うため,各調査データを統合し,この数年間の変化も射程に含めて分析を行う。ただし比較の際労働環境や社会的状況に必要に応じて,状況の変化に柔軟に対応させた計画へと随時変更する。
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