研究課題/領域番号 |
19K13911
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
田村 あずみ 滋賀大学, 経済学系, 准教授 (80781088)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 社会運動 / 原発 / 3.11 / 人新世 / ポストヒューマニズム / 民主主義 / 情動 / 身体性 / 身体 / プレカリティ / 責任 / 政治思想 |
研究開始時の研究の概要 |
グローバル化する社会で人々の生が不安定になり、人々の間に無力感や不寛容性が広がる中、政治的閉塞に応答する思想の構築が急務である。本研究は3・11後の反原発運動を事例に、参加者たちに聞き取り調査を実施し、1)明確な政治的主張やアイデンティティの共有が困難となった時代の政治アクターとはどのようなものか、2)こうしたアクターは他者とどのような倫理的関係を築くのか、3)こうした倫理をいかに知識化して継承していくか、について考察する。これらの運動から得た示唆を、情動や身体性といったキーワードをもとに体系化し、海外事例と比較しながら、グローバルな文脈で進行する民主主義の危機に学術的応答を試みる。
|
研究成果の概要 |
本研究ではまず、2012年から13年に実施した首都圏の反原発デモ主催者らへのインタビューの追跡調査を行なって、運動の多様な継承の形を明らかにし、それまでの研究と合わせて一般書を出版した。また震災から10年後の世間の関心の低下を受け、福島の被災者/避難者であるアクティビストがどう現状を捉えているかインタビューを実施した。その結果、絶望に向き合うことが、対話などの新たな試みにつながる過程を明らかにし、政治的情動としての絶望の重要性を示した。最後にこうした3.11後の市民の実践を人新世の危機への応答と位置づけ、ポストヒューマニズムの知見を取り入れながら知識として体系化して、国内外の学会で報告した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
筆者はこれまで3.11後の反原発デモ参加者のインタビュー調査から、後悔という情動が政治的行動を促していると明らかにし、怒りに焦点を当てがちの運動研究に一石を投じた。本研究では、震災後10年を経た福島のアクティビストの調査から、絶望が新たな政治行動を生む過程を示し、政治的情動の議論を深化させた。 3.11後の反原発運動は、国内の社会運動論の文脈か、2011年の世界的な広場型運動の一環として論じられることが多かった。一方で本研究は、原発事故を世界的な人新世の危機の文脈で捉え、反原発運動をポストヒューマン思想の人間中心主義批判の観点から読み解くことで、欧米論者が中心の同思想にも新たな視座を加えた。
|