研究課題/領域番号 |
19K13917
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 康貴 長崎県立大学, 地域創造学部, 講師 (10828437)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | ひきこもり / 引きこもり / 8050問題 / 当事者活動 / 当事者研究 / 社会的排除 / 社会運動 / 若者支援 / 生きづらさ / 新しい生き方 / 不登校 / 社会的包摂 / 就労支援 / 当事者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、就労支援を中心とした従来の支援に包摂されなかった「ひきこもり」当事者に対して中心的にアプローチすることを通じて、①就労以外におけるニーズや「生きづらさ」を把握し、今後の社会的包摂のあり方を検討することである。また同時に、②彼らの〈生き方〉を丁寧に捉えることを通じて、「就労」だけに限定されない、今後の日本社会における〈新しい生き方〉を当事者の日常的実践から考察していく。
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研究実績の概要 |
昨今、40代や50代といった「ひきこもり」当事者の長期化・高年齢化が社会問題化し、彼らの生活を保障している親たちも70代や80代に突入し高齢化が進んでいる(8050問題)。本研究では、就労支援を中心とした従来の支援に包摂されなかった「ひきこもり」当事者に対して中心的にアプローチすることを通じて、①就労以外におけるニーズや「生きづらさ」を把握し、今後の社会的包摂のあり方を検討する。また同時に、②彼らの〈生き方〉を丁寧に捉えることを通じて、「就労」だけに限定されない、今後の日本社会における〈新しい生き方〉のあり方を当事者の日常的実践から考察していく。そのことを通じて、「ひきこもり」に関する支援や若者支援等に対する新たな支援アプローチや認識枠組みを提供すると同時に、後期近代社会における、社会的に不利な状況に置かれた人々に対する包摂と排除の力学を明らかにしていく。 2022年度においては、コロナ禍における研究上の制限がやや緩和されたが、依然として「ひきこもり」関係の居場所や支援機関の休止が相次いだ。したがって、支援者や当事者に対するインタビュー調査の一部をZoom等のオンラインで行い、活動が再開された居場所等には積極的に参与した。 成果としては、前年度末に刊行した単著『「ひきこもり当事者」の社会学――当事者研究×生きづらさ×当事者活動』(晃洋書房版)についての熊谷晋一郎氏(東京大学・当事者研究)との対談「これからのひきこもり研究に向けて」『理論と動態』第15号(社会理論・動態研究所)や新聞、雑誌への取材協力、論考「『ひきこもり』の当事者活動からの報告――ひきこもりパラダイム・シフトのために」『精神医学』第64巻11号(医学書院)がある。 あわせて、調査協力団体と協力したオンラインイベントや相談支援活動を行い、「ひきこもり」に関する啓発や支援活動を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、コロナ禍における活動制限がやや緩和されたため、単年度における経過としては順調であったが、本研究の計画当初の見込みからは1年~2年ほど遅れている。今後は2023年度以降の活動再開を見据え、研究を遂行していく。また、新しい試みとして、オンラインを用いた居場所構築や当事者会・親の会等を実施することが多くなったため、本研究においてもオンライン活動に注目し、継続して調査を実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の枠組みを維持しつつ、新型コロナウイルス流行に伴う遅延の取り戻し、およびオンラインによる調査を組み合わせつつ実施する。とくに、現在実施されているオンラインによる当事者活動や支援活動にも注目し、その活動の持つ意義と可能性、限界を探る。これまでの調査においては、地方におけるオンラインの活動の可能性(遠隔地でも参加しやすい等)がみられた一方で、地方においては都市部よりもICTに関する意識や技術が浸透しておらず、オンラインの活動への切り替えが円滑に進まないなど、地域間格差や都市と地方の格差が鮮明となった。「ひきこもり」支援を担う支援者や家族(親)の高齢化もあり、オンラインをベースとした支援の限界と可能性、今後の展開を見据えた調査が必須であろう。今後はこの点を意識しつつ、調査の継続と、これまで得られたデータの整理・分析・考察等を行い、随時、単著や論文、学会発表等によってアウトプットを行っていく。
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