研究課題/領域番号 |
19K13919
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
後藤 美緒 日本大学, 文理学部, 研究員 (60779932)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | JOBK / 占領期 / 知識人 / 雑誌 / ラジオ・テレビ / ラジオ放送 / ラジオ・テレビ脚本 / 戦争の記憶 / 地方メディア / 知識人の戦争体験 / 大阪 / ラジオ / 演芸 |
研究開始時の研究の概要 |
地方メディアの独自性の展開とそこへの知識人の関与を、歴史社会学の手法を用いて明らかにするという研究目的を遂行するために、本研究では、次の3つの課題にそって研究を進める。すなわち、課題①占領下の演芸番組の実態の解明、課題②占領下の放送政策の展開と地方放送局への影響、課題③地方メディアにおける知識人の関与と独自性の創出である。調査方法としては、関東、関西の放送施設や演芸資料館での史資料の調査、および関係者へのインタビュー調査を実施する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、占領期における地方メディア(現NHK大阪局、JOBK)の展開を、歴史社会学の手法をもちい、知識人の参与に着目して3年間で明らかにすることを目的とする。研究の終了となる2021年は、本研究を構成する3つのサブ課題のうち、第1の課題(占領下の演芸番組の実態と解明)を踏まえたうえで、第2課題 (占領下の放送政策の展開と地方放送局への影響)と、第3課題(地方メディアにおける知識人の関与と独自性の創出)について取り組んだ。 しかしながら、2019年度末からの新型コロナウィルスの世界的な大流行によって、2020年度分の調査が十分に行えず、その状態のまま2021年度もより状態が悪化して予定していた調査を展開することが難しかった。 そのような中で、既存研究の分析と公開に努めた。その一つは学術論文の執筆である。雑誌の博物館として知られる大宅壮一文庫の利活用をテーマとした書籍(阪本博志編『大宅壮一文庫解体新書――雑誌図書館の全貌とその研究活用』勉誠出版)において、本申請課題において主題的に扱ってきた漫才作家の営みを分析した論考を執筆した。全国紙のほか専門誌や一般雑誌でも書評が組まれ、社会に還元することができた。 また、刊行後、日本マス・コミュニケーション学会春季研究発表会(現日本メディア学会)において、メディア史研究部会が企画したワークショップ「メディア史研究と雑誌アーカイブ――公益財団法人大宅壮一文庫を中心に」(2021年6月5日、オンライン開催)で報告する機会を得た。前述した論文では放送作家に着目し、近畿圏に由来する芸を雑誌に綴ることの意味を、変化するメディア環境を踏まえて分析・記述した。報告ではそれに加えていかに知識人が雑誌とテレビ・ラジオの特性を捉えていたのか、また、雑誌を通したメディア研究の可能性と困難について問題提起をおこなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度も前年度と同様、国内移動の制限を余儀なくされる緊急事態宣言が発令され、主な調査地である大阪に行くことがかなわなかった。また、そうした期間を除いても、調査地である大阪のコロナ感染状況が全国においても圧倒的に高く調査が困難であった。その他、調査を予定していた期間も開館時間が短くなるなど、十分な調査時間を確保することが困難な状況だった。こうした問題のほか、申請者のワクチン接種も自治体や所属機関の不安定さから早い段階で達成することがかなわず、その結果、当初の見込みより計画を十分に展開することがかなわないでいる。 このような状況のため、本研究助成ですでに収集した既存資料を再検討し、資料解釈の精度を上げることにつとめた。この成果は坂本博志編『大宅壮一文庫解体新書』勉誠出版への執筆(2021年3月刊行)、あわせてマス・コミュニケーション学会2021年春季大会ワークショップ(2021年5月)への登壇につながった。
|
今後の研究の推進方策 |
第一に、長期休暇を活かして調査をおこなう。ワクチンの接種が進み、移動の制約が大幅に減った。調査地の感染状況は依然としてよいとは言えないが、十分に気を付けて調査に出かけたい。 第二に、すでに集まった資料を生かして分析と報告を進めていく。2021年度は調査途上で本研究が射程とする時間外の資料を中心に本研究と関連ある報告・執筆を行うことができた。コロナ禍で調査・移動ができない中、これまでの資料を再検討することで新たな視点を得ることができたのは大きな収穫である。今一度、資料の検討を通して申請課題を結び付けた成果の公表を目指す。
|