研究課題/領域番号 |
19K13959
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
中野 加奈子 大谷大学, 社会学部, 准教授 (30726047)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ソーシャルアクション / 貧困問題 / 民衆のソーシャルワーク / 市民運動 / ソーシャルワーク専門職 / ソーシャルワーク専門職養成 / ラディカル・ソーシャルワーク / エンパワーメント / ソーシャルワーク / 裁判アクション / 生活史 / 裁判 / ソーシャルワーカー / 当事者 / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
「ソーシャルアクション」とは問題解決に必要な制度・サービスの創出と、問題を生み出す社会構造に働きかけ、問題を発生させないように社会変革することであり、「制度・サービスの創出」および「社会変革を志向した社会構造への働きかけ」を具現化する署名・陳情・裁判・連携といった具体的な活動を指す。 本研究では、ソーシャルアクションに関与した人々の生活史から(1)ソーシャルアクションの担い手の動機付け、(2)具体的活動内容、(3)海外のソーシャルアクション関与者と我が国の状況の類似性・相違性の明確化、を検討し、「制度の狭間」「声を出せない状態」に陥いる人々に対するソーシャルワークの意義や可能性を明らかする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、 生活保護意見訴訟の原告らの生活実態について「生活保護基準と低所得者のくらし」と題して論文にまとめた。ここでは、国家による基準引き下げによる「節約の強制」が原告らの権利と尊厳、自由を奪っていること、このような実態がリスターの指摘する「屈辱的で人々を蝕むような社会関係」としての貧困であり、そうした実態を国家がもたらしていることの問題性を指摘した。 また、調査については、生活保護基準意見訴訟の原告を支援する青森県生活と健康を守る会連合会へのヒアリングを行い、市民団体によるソーシャルアクションと当事者支援の実際を検討した。この調査により、当該団体による原告支援が可能となっている背景には、長年にわたる地道な地域関係の形成、他機関連携があることがわかった。また、こうした市民団体で行われていることはラヴァレットやイオキミダスの指摘する「民衆のソーシャルワーク(popular socialwork)」として位置づけられる。このような「民衆のソーシャルワーク」の検討を深めることで、「民衆のソーシャルワーク」とソーシャルワーク専門職の接合可能性を模索したい。 さらに韓国で社会的協同組合やホームレス支援団体を視察し、どのように生活問題・社会問題の把握や政策提言を行なっているのかヒアリングした。東アジアという共通する文化を持つ韓国では、ソーシャルワーク専門職のソーシャルアクションの積極的参画が行われていることがわかった。こちらについても、社会的協同組合の歴史背景に「民衆のソーシャルワーク」が位置づいていたことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年からのコロナ禍の影響を受けて予定が大幅に変更し、当初の予定通りの研究には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
生活保護意見訴訟の原告を支援する「生活と健康を守る会」へのヒアリング調査を行う(大阪、兵庫、北海道など)。これにより、市民団体によるアクションの実態と、「裁判」というソーシャルアクションの手法の可能性について検討する。 また、ホームレス支援など、従来の法律の対象外とされた人々への支援活動の実際をヒアリング調査し、問題把握・政策提言・支援活動の展開などの検討を深め、ソーシャルアクションの手法について理論的整理を行う。 さらに、「民衆のソーシャルワーク(popular social work)」という概念を用いて今日のソーシャルワーク専門職が直面する課題や、ソーシャルアクションへの参画を可能とする視点・対策を提言していく。
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