研究課題/領域番号 |
19K13967
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 愛知県立大学 (2023) 関西福祉科学大学 (2019-2022) |
研究代表者 |
河村 諒 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (40578423)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | スピリチュアルケア / 宗教的な関わり / 利用者家族 / 高齢者施設 / 介護老人福祉施設 / 介護老人保健施設 / 介護職員 / 利用者 / 有料老人ホーム / 宗教 / 死生観 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者施設の利用者のQOLの向上を図る上では、身体的・心理的・社会的側面に加え、スピリチュアルな側面への理解とケアが有益であり、方法の1つとして宗教的な関わりの可能性やニーズが指摘されている。 本研究では、施設の宗教的背景やスピリチュアルケアの体制の違いを踏まえた複数の施設の実態的データを扱い、介護職員及び利用者家族の視点から宗教的な関わりの実践性及びその効果について実証的検討を行う。これら結果をもとに、高齢者施設における宗教的な関わりのあり方を検討する講習会を開催し、その評価や宗教的な関わりについての認識の拡大、実践の普及、質の向上の検討を行う。
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研究実績の概要 |
介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の利用者家族の視点からスピリチュアルケアとしての宗教的な関わりの評価について、宗教の信仰の有無及び宗教的な関わりの実施有無の違いから検討した。介護老人福祉施設または介護老人保健施設を利用し、亡くなってから6ヶ月以上3年未満の利用者の家族で利用者との面会あるいは電話でのやり取りが週1回以上あった者それぞれ350名を対象としたオンラインによる質問紙調査を実施し、続柄が実親及び義理親の介護老人福祉施設の利用者家族341名、介護老人保健施設の利用者家族343名を分析対象者とした。 結果、①介護老人福祉施設では利用者及び利用者家族の信仰する宗教の有無で宗教的な関わりの評価に差はなかったが、介護老人保健施設では利用者に信仰する宗教が「あり群」の方が「なし」群よりも有意に宗教的な関わりの評価が高かった。介護老人保健施設では利用者に対して家庭への復帰を目指したケアがなされる。そのため、利用者の状態が安定して行動や活動内容が広がる中で、施設内の行動にそれまでの生活習慣や宗教行事、信仰に伴う宗教的な関わりを取り入れるかどうか行動選択の幅が広がるものと考えられた。その際、利用者に信仰する宗教がないかどうかが、本人が宗教的な関わりを行うかどうかの行動選択に影響を与えうると考えた。介護老人保健施設では、利用者の信仰を把握した上で、その希望に沿った宗教的な関わりを行うことが、利用者家族の宗教的な関わりに対する許容、評価に繋がる可能性が考えられた。 ②介護老人福祉施設、介護老人保健施設ともに、宗教的な関わりが行われた利用者の家族は行われていない利用者家族より有意に宗教的な関わりの評価が高かった。宗教的な関わりの効果等を他の利用者家族にも具体的に伝えることで、宗教的な関わりに対する抵抗感を下げ、利用者に対するスピリチュアルケアの幅を広げることに繋がると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度までの研究結果の蓄積により、次の計画である介護職員に提示する講習会資料の内容の情報がある程度まとまった。そのため、2024年度の研究の肝となる講習会のための資料が作成できるため、研究予定通りの進捗状況となった。
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今後の研究の推進方策 |
この一連の、高齢者施設を対象としたスピリチュアルケアや宗教的な関わりに関する研究結果を取りまとめる。その上で、調査協力関係にある高齢者施設の介護職員を対象に、高齢者施設におけるスピリチュアルケア及び宗教的な関わりのあり方に関する講義及び情報共有・意見交換、施設で抱えている課題について具体的な解決策を検討する講習会を開催する。 その後参加者に質問紙調査を行い、講習会に対する評価及び講習会の効果(スピリチュアルケアや宗教的な関わりの認知や実施の促進、死生観や宗教観の変化)を明らかにし、宗教的な関わりの役割に関する一般性と限界性を検証する。
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