研究課題/領域番号 |
19K13988
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
米澤 旦 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60711926)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 社会的企業 / 新制度派組織論 / 就労支援 / サードセクター / 制度的起業家 / 社会政策 / 新制度派組織理論 / 生活保障システム / ICT / ソーシャルファーム / 労働統合型社会的企業 / 非営利組織 / ハイブリッド組織 / ガバナンス / 社会的投資戦略 / 支援付き雇用 / 障害者 / 生活困窮者 |
研究開始時の研究の概要 |
労働統合型社会的企業と見なされる組織形態を、ハイブリッド組織として位置づけたうえで、複数の合理性のなかで活動する当該事業体による支援付き就労の実態を組織的環境との関係のなかで明らかにする。具体的には生活困窮者自立支援制度の就労訓練事業と、障害者総合支援法の就労継続A型制度を利用して活動する組織を対象として、インタビュー調査および質問紙調査を実施し、データを収集する。そのうえで、各制度のもとで活動する組織の就労環境、スタッフのキャリア・労働環境がいかなる要因によって規定されるかを分析することで明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、これまでの研究成果のとりまとめを中心に研究を実施した。 まず、日韓の社会的企業の比較研究についての研究書や論文を刊行した。本研究で注目している政府の役割も含めた社会構造と社会的企業の制度化の関連性を明らかにすることを試みた。比較研究による主な知見としては、第一に、社会的企業が同じ時期に導入された日本と韓国社会で、社会的企業は、規模、活動分野、戦術に関して異なる傾向を持ちながら、制度化していることである。第二に、そのような制度化の違いは、社会構造への「埋め込み」と関連している点である。特に日本において韓国のように就労支援を重視する社会的企業の制度化が進まない要因として、日本と異なる労働市場の状況や社会保障制度が関連している可能性がある。 第二に、比較研究の結果から得た知見を踏まえて、日本の社会的企業の特徴についての理論的な検討を進めた。韓国と比べたときには、日本の社会的企業はロビイングなどへの強い指向性が示された。この結果からは、特に日本における社会的企業の生活保障システムでの役割を理解するためには、制度変化や新しい社会サービスの普及を促すような制度的起業家としての側面に注目することが必要だという含意を引き出せる。新制度派組織論の蓄積も踏まえて、この側面についての経験的研究の必要性を示唆するものである。 最後に、就労支援組織のフィールドワークを進めた。これまでに実施してきたフィールドワークを継続しており、ICT技術の導入が就労支援組織の専門職的支援やコミュニケーションにいかなる影響を与えるかを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症の流行もあり、国内における社会的企業の就労環境の調査は計画通りには進まなかった。これに対しては代替的な方策によって研究目的にかなう知見を得ることができた。また、日韓比較の研究を取りまとめることによって、政府の役割を含めた制度的環境と社会的企業の活動に関しては一定の成果を示すことができた。 ただし、研究計画と比べて、その前半期での遅れを取り戻すには至っておらず特に研究成果の共有には課題がある。そのため、(3)やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の共有には遅れがあるので、今年度は昨年度と同様に成果の発表に注力する。国際比較研究で示された、理論的洞察を経験的研究に結びつけることを試みる。特に社会的企業の制度的起業家としての役割の検討を進める。成果の発表は、学会や国際会議によって社会学や社会政策の研究者に対して行う予定である。
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