研究課題/領域番号 |
19K14000
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
曽田 里美 神戸女子大学, 健康福祉学部, 准教授 (50340930)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ライフストーリーワーク / 児童養護施設 / 実践モデル |
研究開始時の研究の概要 |
児童養護施設(施設)においてソーシャルワーカー等が入所児童に生い立ちや家族について伝え、それらを子どもと一緒に整理していくライフストーリーワーク(以下、LSW)は、近年日本でも注目されるようになった。LSWを実施している施設はまだ数少ないが、実施している施設はそれぞれ独自の方法でLSWを展開している。本研究のねらいは、このような施設における地道な実践に光を当て、その実践に意義を与えることである。先駆的実践を吟味し、それらを蓄積し、各施設が活用できる実践モデルの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
令和2年度に行った「児童養護施設における『子どもの生い立ちへのかかわり』に関する実態調査」について、令和3年度に記述統計による分析を行い、令和4年度に多変量解析による分析を行った。多変量解析による分析結果の一部は日本社会福祉学会第70回秋季大会で発表済みである。令和5年度は分析結果を精査し、学術論文にまとめて「ライフストーリーワークの多様な形態と実施過程の検証」というテーマで学会誌に投稿した。掲載については未定である。平成30年度に質的調査から導出した3形態のライフストーリーワーク(以下LSW)である「生活場面型LSW」、「設定型LSW」、「セッション型LSW」は、量的調査の探索的因子分析の結果、抽出することができた。実施過程については、質的調査ではLSWの各形態が循環的に関連しながら展開するとされていたが、今回の量的調査では、生活場面型LSWを通して子どもの生い立ちや家族に関する疑問や気持ちを受けとめ、そこから改めて子どもに説明する設定型LSWや、ワークを通して少しずつ生い立ちを振り返るセッション型LSWに繋がっていることが分かり、循環するというよりは段階的に展開していることが明らかとなった。 実践現場では上記のように多様な形態のLSWが実施されていることを踏まえて、そのような先駆的実践をLSWの推進に活かすための「LSW実践データベースシステム」開発を令和4年度より進めている。令和4年度は児童養護施設15か所を対象に、LSWの実施内容・方法に関するインタビュー調査を行い、データベースへの登録実践例を収集した。令和5年度はさらに10か所へのインタビュー調査を予定していたが、現場との調整が難航して3か所のみとなった。一方、データベースシステムの開発業者とは検討を重ね、Webサイトはほぼ完成することができた。あとは各施設の実践例をシステムに入れて公開できるようにするところまで進められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質的調査で導き出した多様な形態のLSWの存在と実施過程を、今回の量的調査で検証することができた。実践現場で多様な形態のLSWが実施されていることを踏まえた「LSW実践データベースシステム」の開発が遅れている。データベース用のデータ収集として、児童養護施設約30か所のインタビュー調査を計画しており、令和4年度は15か所について実施した。令和5年度はさらに10か所のインタビューを予定していたが、3か所のみの実施となった。現場の多忙による日程調整の難しさや、データベース登録への理解が得られにくい等の理由から予定通り進めることができなかった。データベースシステム完成後もデータの追加は可能なため、インタビュー調査によるデータ収集は一旦終了し、Webサイトの作成を進めることとした。
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今後の研究の推進方策 |
LSW実践データベースシステム開発に向けて、令和4年度と令和5年度に収集した実践例データの整理・まとめ、調査協力者への確認、データベース登録を行い、Webサイトの公開を進める。令和6年度の秋ごろにシステムを完成し、完成したデータベースシステム利用マニュアルを作成し、全国の児童養護施設へ郵送し、システム利用を促す。利用状況や利用効果、システムの改善点等に関するアンケート調査を行い、システムの改良とLSW推進に対するシステムの効果を検証する。また、本研究の最終年度となるため報告書を作成し、全国の児童養護施設へ郵送する。
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