研究課題/領域番号 |
19K14013
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中屋 愼 大阪府立大学, 研究推進機構, 客員研究員 (90736886)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | クレソン / ジフェネチルウレア / 脂質メディエーター / 可溶性エポキシヒドロラーゼ阻害 / 機能性成分 / 抗炎症作用 / イソチオシアネート / 1,3-ジフェネチルウレア / ウレア |
研究開始時の研究の概要 |
クレソンを摂食した場合に得られる健康増進効果について,抗炎症作用に注目した評価を行う。本研究では,病態モデルマウスにクレソン乾燥粉末およびクレソンに特徴的な物質であるフェネチルイソチオシアネート(PE-ITC),1,3-ジフェネチルウレア(PE-UR)をそれぞれ経口投与し,抗炎症作用とその作用機序を調べる。病態モデルには一般的な炎症反応モデルとアレルギー反応と炎症反応の複合的病態モデルを用い,異なる炎症に対する作用について考察する。また,ヒトが効果を得るために必要なクレソンの量を見積もり,臨床試験に向けた投与形態および投与量を設定するための知見を蓄積する。
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研究成果の概要 |
葉菜類であるクレソン(Nasturtium officinale)はフェネチルイソチオシアネート(PE-ITC)や1,3-ジフェネチルウレア(PE-UR)を含有している。マウスを用いた動物実験から、これらの物質を摂食した場合、体内で脂質メディエーターの調節に関わる可溶性エポキシヒドロラーゼを阻害することにより、抗炎症効果を発揮することがわかった。また、炎症との関わりが指摘されている腸内菌叢を調べたところ、PE-ITCは菌叢を著しく劣化させるが、PE-URはクレソン粉末と同じく悪影響を与えないことがわかった。以上より、クレソンが示す抗炎症効果の主たる機能性成分はPE-URであると考えている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
クレソンはヨーロッパにおいて伝統的に健康増進目的で食されているものの、抗炎症効果を齎す機能性成分とその作用機序に科学的根拠が付与されていない。一般にアブラナ科植物の機能性はイソチオシアネート類に寄るとされるが、本研究から明らかなように、強い殺菌効果による腸内菌叢への悪影響など抗炎症効果の主因とするには説明できない部分が多い。我々はPE-URが抗炎症効果の主因であることを示唆する知見を得たが、この成果は機能性食品学の発展に貢献する。また、明確な科学的根拠を添えて、食品がもつ健康増進効果を示すことにより、伝統的な食品の価値を改めて社会に発信することができる。これは食と農を豊かにする一助となる。
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