研究課題/領域番号 |
19K14063
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
平野 亮 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (40636429)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | Phrenology / 近代化 / 個人主義 / 骨相学 / 高橋邦三 / 長岡 / 養生/衛生 / 自分探し / 明治期の学校 / 教導説 / Robert Chambers / 生理心学(生理的心理学) / 進路指導 / 心の能力 / 骨相学の担い手 / 旧士族 / 工学/商業人材 / 明治時代 / フレノロジー / 翻訳 / 骨相学(フレノロジー) / 近代日本の「教育」 / 和魂洋才 |
研究開始時の研究の概要 |
骨相学は,19世紀前半の西洋世界を席巻した「脳科学」であり,その社会的・文化的影響については欧米を中心につとに研究の蓄積をみる。しかし,開化期以降の日本にも教育分野を含めた様々な領域でその流入が認められるにも拘わらず,これまでまとまった検討はなされてこなかった。 そこで本研究では,①骨相学の流入・受容・展開についての広く文化的な概説史,②その理論が骨相学と知りながら受容した教育分野の歴史,③そうとは知らずに影響を被っていた教育分野の歴史,の3つのアプローチでこの主題に取り組む。近代以降の日本の教育学・思想の源流を探ると同時に,「啓蒙」時代の日本の一つの文化史を描き出すことを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は,近代日本における骨相学(phrenology)の受容と展開について,教育史学の立場から調査・検討したものである。第一に,マクロな視点から,phrenologyの数多の訳語を整理し,幕末以降の原書の流入を幕府旧蔵資料及び帝国図書館の目録から跡づけ,明治大正期の医・心理・美術・犯罪・文学,そして教育を含む広範な領域の文献や講義に骨相学が取り上げられていたことを明らかにした。第二に,ミクロな視点から,長岡士族の骨相学者高橋邦三(1861-1913)の生涯とその思想形成について検討し,彼が特に教育分野への応用を推進した骨相学は,養生/衛生と自分探しのための科学的術知としてであったと考察した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,近代日本における骨相学について教育史の立場から検討した,日本で初めての本格的試みである。報告者は以前に,教育に関わる人間観について西洋における骨相学を素材に歴史的に分析し,「能力人間学」という語を導入してその教育史的意義を考察したが,本研究はその近代日本における検討の端緒ともなる。近年も進展している骨相学の各国・各地域史研究の,「日本」という空白を埋める成果であるとともに,「能力」概念や「測定」行為にますます依存を強めているように思われる現代の教育を省察していく契機となる,好個の歴史的素材を提供する成果になっていると考える。
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