研究課題/領域番号 |
19K14065
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
董 秋艶 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (50780087)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 清末中国の女子教育 / 新選家政学 / 下田歌子 / 女子教育史 / 近代日中女子教育情報の経路 / 日中教育関係史 |
研究開始時の研究の概要 |
下田歌子(以下は下田)の『新選家政学』は、当時の中国に4つの翻訳版があり、出版社もそれぞれであった。また、清末中央政府は1904年公布した教育制度の際、女子教育の教科書として下田の『家政学』ならば使用しでもよいと勧めた。本研究は、当時の中国にあった下田の『新選家政学』の翻訳書という女子教育情報の経路に交える日本の働きかけと中国の受容を分析する。これにより、下田は中国に女子教育普及されるよう、情報の提供などを積極的に推し進めようとしたこと、中国は彼女から勧められた「賢母養成」の女子教育を認め、自ら情報を収集し啓蒙していったことを明らかにし、女子教育を媒介とした日中関係を解明する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、日清戦争後に、中国語に翻訳された『新選家政学』(原作下田歌子 1901年)に着目し、その女子教育情報がいかにして中国へもたらされ、中国はその情報をどのように受容したのか、その経路に交わる「ヒト」「モノ」の動きから、日中の女子教育に対する相互認識を浮き彫りし、当時の日中関係史の更なる解明を目指している。 初年度は、収集した資・史料を基に、『新選家政学』が中国語に翻訳された経緯の分析を試み、その成果を学会発表した。発表で得られた意見を踏まえて論文をまとめて学会誌に投稿したが、残念ながら採用はならなかった。2年目は史料等の読み直し、訳書『新編家政学』と『家政学』と『聶氏重編家政学』3冊のそれぞれの翻訳経緯を分析し、その経緯に交えた日中の女子教育に対する認識を明らかにした。その成果を九州大学の『教育基礎学研究』に投稿し、掲載された。3年目の計画としては中国での史・資料収集を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延で、中国は出入国に厳しい対策を取ったため、渡航が叶わなかったため、史料の再分析を行った。その分析を通して、もう一つの訳書(湯剣が翻訳した)が再版を重ねていたことが分かった。そのため、この項目も新たな研究課題とした。4年目は、中国の「ゼロコロナ」政策によるまちの封鎖などで、より厳しい対策となったため、修正を余儀なくされた。中国渡航に代えて、東京都立中央図書館文庫や実践女子大学図書館等で、新たな活字史・資料を可能な限り購入・収集し、湯剣の『新撰家政学』、曽紀芬の『聶氏重編家政学』の初版(マイクロフィルムの複写)を収集できた。最終年度にはこれらの資・史料を整理分析しながら、当時の中国人女性が翻訳した上記の『家政学』と『聶氏重編家政学』の内容が異なっていること、その違いが生まれた理由を課題として取る組み、成果をまとめて学会等で発表する予定である。
|