研究課題/領域番号 |
19K14074
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 都留文科大学 (2020-2022) 十文字学園女子大学 (2019) |
研究代表者 |
邊見 信 都留文科大学, 教養学部, 講師 (40830112)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 放送教育 / 学校放送 / 太平洋戦争 / 国民学校 / ラジオ放送 / ラジオ / 日本放送協会 / 教育 / メディア / 教育史 / 総力戦体制 / 教育学 / 教育とメディア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国民学校における放送教育の理論と実相を、国民の動員という総力戦体制下の課題との関連のなかで明らかにし、そこに日本型メディア教育の歴史的問題状況を浮かび上がらせることを目的とする。 ①国民学校におけるラジオを「聴く」習慣形成の問題化、②少国民を聴取対象とした「国民学校放送」の成立過程、③「聴く」習慣の形成をめぐる「訓練」の実相の三つの視点から、国民学校期における放送教育の展開を明らかにし、日本のメディア教育がどのような問題を含みこんで成立してきたのかを歴史的に検討する。
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研究実績の概要 |
本年度進めた具体的な作業は、以下の2つである。 1.1930年代の教養放送をめぐる実践記録、言説の資料調査:国民学校期の学校放送をめぐる実践及び議論の展開の特質を明らかにするために、それ以前の教養放送をめぐる実践、議論における主要な論点との比較を行う必要が浮かび上がってきた。ラジオ放送は、国民学校成立と同時に学校教育における法的な位置づけを得ているため、それ以前の各地域、学校、教員の裁量にゆだねられていた教育的ラジオ放送利用と、国民学校における一定の強制力が働くなかでの学校放送利用との差異を明らかにするため、これまでに収集した国民学校期の学校放送実践記録に加え、1930年代の教養放送実践記録や日本放送協会発行の機関誌上に寄稿された論文を、NHK放送博物館、国会図書館で収集した。2.太平洋戦争期における学校放送番組編成の調査:これまでに収集した日本放送協会関係資料から、1941年頃までは基本的には事前に利用校に配布されたテキストの予告どおりの番組内容が放送されていた学校放送が、1941年12月以降の太平洋戦争期においては戦局が刻々と変化したことから、番組プログラムを余裕をもって計画したり、あるいは事前に利用校に内容を周知することが難しくなっていったことがわかった。NHK放送博物館に所蔵されている当時の番組確定表や、日本放送協会発行の機関誌から、太平洋戦争期における学校放送の番組編成方針を調査するとともに、実際にどういった内容が電波に載せられたのかを分析した。 本年度の具体的な成果としては、1年目に収集した『JOBKニュース』を活用して、公益財団法人野間教育研究所70周年記念調査研究論文社会教育部門「戦前期教養放送と農村青年の教育 ―ラジオ番組「農村への講座」の団体聴取運動」を執筆し、2022年5月に出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度からの課題として、1930年代の社会教育における教養放送利用の展開と、学校教育における教養放送利用の展開との比較を明らかにすることがあり、本年度は広く1930年代における教育的ラジオ放送利用に関する実践記録、文献の収集を進めたが、現存する資料数の制約から資料の分析がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
具体的な研究の推進方策は次の2つである。 1.1930年代の教養放送をめぐる実践記録、言説の資料調査:本年度に引続き、1930年代の教養放送利用をめぐる実践記録、文献の収集・分析を進める。2.1930~1940年代の教育的ラジオ放送利用による「連帯」の分析:メディア史のこれまでの研究成果を参照し、先行研究で明らかにされてきた1930~1940年代のラジオ放送による「連帯」のあり様を分析の視点としながら、とりわけ教育的なラジオ放送利用によって構想された「連帯」の具体的様相を明らかにするとともに、放送教育関係者やその言説が「連帯」の構築にいかに貢献したのかを分析する。
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