研究課題/領域番号 |
19K14075
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 武蔵野美術大学 |
研究代表者 |
植田 千賀子 (田中千賀子) 武蔵野美術大学, 造形学部, 講師 (10711674)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 森林教育 / 林業教育 / 学校林 / 学校樹栽 / 長野県 / 初等教育 / 明治 / 大正 / 森林・林業教育 / 教育史 / 美術教育 / 森林科学 / 伊那 / 野外教育 / 歴史 / 伊那市 / 諏訪市 / 学校施設 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治期以降の初等教育における森林・林業教育について、教育政策と教育実践の両側面を歴史的手法によって明らかにするものである。全国的な展開の概観に加え、主に長野県の小学校を対象に史料調査と検討をおこなう。 近年学校教育では、自然体験活動の推進や環境教育の目標の導入などによって、初等教育においても森林に関わる教育活動が推奨されているが、近代に成立した学校林や校舎付近の自然環境が十分に活用されているとは言い難い。森林・林業教育の成立時にまで視野を広げて、初等教育での展開の経緯や課題などを明らかにすることで、現在の学校教育における自然環境をめぐる課題を検討する素地を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
研究の計画と成果については次の通りである。 ①明治・大正期の森林・林業教育に関わる政策動向の基礎調査:「森林教育史研究会」をたちあげ、大石康彦(多摩森林科学園)、井上真理子(多摩森林科学園)とともに月一度の研究会議を実施し、主に明治期から戦前までの資料分析などをおこなった。なかでも学校林推奨に関わった人物(牧野伸顕、本多静六等)や団体(大日本山林会、帝国治山治水協会等)に関する資料を対象として、学校林の設置目的と植栽樹種の選択の関係に焦点をあてながら、学校林の目的、また期待された役割や機能を分析した。結果として①学校樹栽が推奨される時期と学校林が推奨される時期において、目的や期待された役割などが異なっていたこと、②学校樹栽の目的として教育や治山治水(水源涵養、国土保全等の森林政策上の機能等)を挙げるものが多く、記念植樹や教材利用も含め、経済上の目的や効果のみに偏らない独自の目的がみられたことなどが確認された。この結果を日本森林学会大会にて報告した(田中千賀子、大石康彦「学校林植栽樹種の教育目的」第135回日本森林学会大会、2024 年3月8日(東京農業大学))。 ②長野県内小学校の沿革史などの刊行物の調査と事例選定:森林教育史研究会において、高遠小学校(長野県伊那市高遠町)などの学校林とこの寄付にあたった伊澤多喜男に関する史料収集と分析などをおこなった。 ③現在の森林・林業教育の動向調査:昨年度におこなった教科書分析などの成果を含めて、現在の森林教育・森林体験活動と美術教育の関連を整理して、初等教育段階における個人の内面や感性を重視する共通性を確認した。この成果について森林教育関連の共著にて分担執筆した(「美術教育と森林教育」『森林教育学―自然とともに生きる―』海青社、2024年6月刊行予定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年4月よりたちあげた森林教育史研究会によって、定期的な研究会議と作業がすすんでいる。本年度は主に資料収集を中心としつつも、第135回日本森林学会大会での報告や、共著の分担執筆などによって、研究成果の一部を公開することができた。これらの研究活動を通じて、初等教育における森林教育を検討する上で、①「学校樹栽」と「学校林」を区分した分析、②森林教育と美術教育に共通する初等教育段階の特徴をふまえた分析、③1895年「学校樹栽」推奨以前の先行事例の分析の必要性を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況に示した①から③の分析の観点をふまえて、主に収集資料の分析と成果発表を中心におこなう。 とくに③先行事例の分析については、長野県を対象地域とすることの妥当性も確認されたため、引き続き資料調査、収集分析をすすめる。成果報告は、主に日本森林学会大会や教育史学会などでの学会報告に加え、研究室紀要などでの資料紹介も予定している。
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