研究課題/領域番号 |
19K14078
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
西野 倫世 大阪産業大学, 全学教育機構, 准教授 (20823983)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 学力テスト結果の活用と影響 / 教師の処遇改善 / 日米英調査 / Value-Added Assessment / 子どもの学習権保障 / teacher effectiveness / 学力テスト結果 / 教員の処遇 / 米国 / アメリカ / 教員処遇 / 教員の処遇改善 / 日米英比較調査 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では教員の多忙化を背景とした「働き方改革」等に伴い,いかにして教員の処遇改善を行うかが重要な検討課題となっている。こうした中,一部の政令市では学力テスト結果を教員処遇に反映する新たな動きが生じ論争を呼んでいるものの,その可能性や弊害については十分検討されていない。本研究では,学力テストの活用が進みつつも異なる展開をみせる日本・米国・英国の政策動向を比較調査することによって,学力テスト結果は教員の処遇改善にいかに寄与しうるか,学力テスト結果を利用した場合どのような影響が生じうるのかを明らかにする。この作業を通して,わが国の現実に即した政策上の展望を提示することを目指す。
|
研究実績の概要 |
令和5年度の研究実績は,以下の3点である。 1)学術図書の刊行:本研究の成果を含むこれまでの研究を博士論文としてまとめたものを基盤に,①前年度の成果にあたる米国テネシー州の学力テスト問題(小学6年生対象)を翻訳したもの,②別の科研の成果の一部を含む新たな知見を一章分加筆して学術書としてまとめ,日本学術振興会の刊行助成を受けて,2月に刊行した。本書は,本研究の主題である「教員の処遇改善に向けた学力テスト結果の活用と影響」の理論的基盤に位置づく知見にあたり,同時に米国(テネシー州・ワシントンD.C.)での実地調査の成果も含んでいる。 2)英国への渡航調査:新型コロナウイルスの影響等により,ここ数年実施できていなかった渡航調査を再開し,初の英国調査を実施した。本研究の第一人者として英国で著名な研究者数名と面会し,本研究に関する聞き取り調査を行うとともに,関連資料や英国での学校調査の方策についても,貴重な助言を受けることができた。英国での研究ネットワークの構築・拡充を進められたため,次年度以降の調査に活かしていきたい。 3)成果発信:第一に,本研究の成果を含む内容について全国学会で報告を行い,国内の研究者と意見交流を行う中で,研究の発展に向けて示唆を得られた。第二に,上記学術図書を関連分野の研究者に発信することで,様々な視点から貴重なご指摘・ご助言を受けることができた。研究者と活発に交流する中で本質的な論点もみえてきたため,研究遂行に向けて検討を進めたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は上記3つの研究実績をあげ,当初の計画通り政策形成過程面等の検討においても本研究を推進できた一方,英国調査では現地でのネットワーク不足等からアポ取りが難航し,個別学校における関係者への聞き取りおよび資料収集を行うことができなかった。以上から,おおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度は最終年度にあたるため,当初の計画通り「教育活動への影響」分析を柱として研究を進めた上で,総括を行う予定である。具体的には,第一に,学力テスト結果の処遇反映に伴う教育活動の影響を分析するため,これまで構築した研究ネットワークをもとに学校関係者に面会し,処遇の変化や学校現場への影響等に関する聞き取り調査を拡充する。第二に,これまでの形成した理論枠組みに即して,日米英における学力テストの活用状況を分析し,各国の異同を解明する。 これらの作業を通して,わが国で転換期を迎えつつある教員処遇政策において,学力テスト結果はいかに活用しうるか,活用した場合どのような影響が生じうるかを解明するという本研究の目的を達成することを目指す。なお,これらの研究成果を国内外の学会・論文等で報告することによって,研究成果の発信にも努める予定である。
|