研究課題/領域番号 |
19K14098
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
住岡 敏弘 大分大学, 教育学部, 教授 (70304376)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 新自由主義 / 学校選択 / チャータースクール / チャーターシステム / 公民権 / アメリカ教育 / アメリカ教育行政 / アメリカ教育制度 / ジョージア州 / チャーター・システム / アメリカ教育改革 / 学力政策 / マイノリティ教育 |
研究開始時の研究の概要 |
アメリカ合衆国ではEvery Student Succeeds Act(ESSA法)が制定され、州スタンダードとアセスメントが州に任されるなど、連邦と州の関係が変わりつつある。そのなかで公教育を実際に管轄する州政府の具体的な教育政策や改革動向が注目を集めている。そこでESSA法のもとでジョージア州が進めるチャーター・システム(CSys)を『黒人の側から』分析し、その特質と課題を明らかにする。すなわち、本研究においてはCSysの法的・制度的枠組みを整理するとともに、CSys導入による学区教育委員会の組織上の変化並びにCSysが黒人の公教育に与えた影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、黒人の視点からみたチャーターシステムの問題点を探るために、公民権保障の観点から教育の私事化の動向に警鐘を鳴らしている、オーフィールド・ゲイリー氏(Gary Orfield)の著作を収集・分析し、チャーターシステムの問題点を明らかにした。 ゲーリー氏は、UCLAのCivil Right Projectの共同ディレクターのひとりとして、バウチャー制、チャータースクールなどの学校選択の拡大とアメリカ公教育における人種分離の拡大との関係に焦点を当てている。 彼は、新自由主義的な思想の下での学校選択制度の拡大を激しく批判している。新自由主義的思想は、学校を企業のように運営することで改善が促されるとの枠組みで、市民を消費者のように扱い、バウチャー、チャータースクール、マグネットスクール、自主的な転校プログラムの形で選択肢を与えてきた。しかし、彼によると、選択政策は実際には貧しい子どもたちや黒人やヒスパニックなどのマイノリティの子どもたちに利益をもたらすことができるとしつつも、それは政策決定者が「公民権問題」と呼ぶものについてある程度の配慮する意図がある場合に限られると主張している。 こうした視点を踏まえて、ジョージア州のチャータースクール法の改正過程について、ジョージア州の公文書館に赴き、チャーターシステムの法制化に関わる資料ならびにそれに関わる新聞記事を収集し、分析を行った。チャーターシステムは、各児童生徒の個々のニーズを最もよく満たすために学校単位で決定を下す権限と柔軟性を与えられるように制度化されていることが明らかになった。ただ、実際に、公民権への配慮がどのように運用されているかについては、今後、運用実態を子細に調べていくことが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の結果、現地調査が十分にできず、研究データを収集することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、チャーターシステムの制定意図である「各児童生徒の個々のニーズを最もよく満たすために学校単位で決定を下す権限と柔軟性を与えられる」という政策の制定意図を踏まえて、公民権への配慮がどのように行われているのか(それとも配慮がなされていないのか)について、チャーターシステムの運用実態について明らかにするために、学区教育委員会の政策担当者にアンケートとインタビューを実施していく。
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