研究課題/領域番号 |
19K14108
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
中込 さやか 立教大学, グローバル・リベラルアーツ・プログラム運営センター, 特任准教授 (00778201)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | トランスナショナル / 留学生 / ジェンダー / 大江スミ / 家政学 / 家庭科 / イギリス教育史 / イギリス女子教育史 / 高等教育 / イギリス史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は女子中等・高等教育史研究の一部であり、社会のグローバル化や家族関係の多様化に教育がいかに対応するかという今日的課題を、ジェンダーとトランスナショナルの視角から歴史的に考察する。19世紀後半から20世紀初頭の日英間の女性教育家のトランスナショナルな移動の経験と、両国の教育的・社会的背景を分析するにあたり、本研究では大江(宮川)スミと家政学に着目する。大江のイギリス官費留学・私費留学の経験を日英の一次史料から分析すると同時に、留学時のイギリスの家政学を取り巻く教育的・社会的な状況を明らかにする。そして、大江の留学経験が帰国後の日本での家政学教育にいかに反映されたかを問う。
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研究実績の概要 |
本研究は、大江(宮川)スミと家政学を切り口に、近代の日英間の女子留学生/女性教育者のトランスナショナルな移動そのものに着目すると同時に、それを可能とした各国の教育的・社会的状況を分析することで、19世紀後半から20世紀初頭の女子中等・高等教育の世界的な拡大の構造と特質を明らかにすることを狙う。 2022年度は、第一に、9月上旬に第43回国際教育史学会(オンライン開催)にて、研究報告を行った。考古学や人類学、民俗学、美術館学によって主導されてきた「モノ」を扱う物質文化研究が近年の教育史研究に導入されてきたことを受けて、大江スミがイギリス留学中に日本の文部省に書き送った報告書を「travelling objects」と見なし、そこに記載された内容の吟味だけでなく、「モノ」それ自体としての伝播や重要性についても分析を行った。続く質疑応答では、国内外の報告者と参加者とオンラインにて議論を交わし、同テーマへの研究理解を深めることができた。また、オンライン開催に先立ってミラノ開催の同大会にも現地より参加し、近年の英語圏における「モノ」の歴史を教育史研究にとりいれた最新の研究成果について広範に学ぶことができた。 第二に、12月上旬に第38回イギリス女性史学研究会(ハイブリッド開催)にコメンテイターとして登壇した。また、第37回イギリス女性史学研究会(ハイブリッド開催)への参加や、近しい研究分野の研究者とのオンライン読書会・勉強会を通じて、研究分野への理解を深めた。 第三に、2023年2月後半から3月上旬までロンドンに渡航し、現地の複数の文書館にて19世紀後半から20世紀初頭のイギリス女子中等・高等教育における家庭科と家政学に関する史料の調査および収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、近代の日英間の女子留学生/女性教育者のトランスナショナルな移動そのものに着目すると同時に、それを可能とした各国の教育的・社会的状況を分析するにあたり、一次資料にもとづく実証研究を行うことを目的としている。2022年度、2021年度と続いた新型コロナウイルス感染症の影響により、イギリスおよび日本の文書館や大学での史料調査を実施できず、研究期間を延長せざるをえなかった。2022年度は出国・入国制限が緩和されたため、2023年2月後半~3月上旬にロンドンにて史料調査および収集を行うことができた。しかし、年度内にその成果を学会報告や論文などのかたちでまとめるには至らず、再々延長を申請することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も引き続き、感染状況の推移と欧州の政治情勢を考慮しながら、イギリスおよび日本での現地での史料調査を行いたい。国内での史料調査については2023年夏以降を、イギリスでの史料調査については2023年夏および2024年春を検討している。また、その成果を学会報告または論文などの形で発表していくことを目指したい。
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