研究課題/領域番号 |
19K14120
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
布川 あゆみ 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (80799114)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 終日学校 / 難民受け入れ / ウクライナ / 社会統合 / 学校の役割拡大 / 教員の働き方 / ベトナム系移民 / 中国系移民 / ドイツ / 学校適応 / 主体性 / 生活の保障 / 就学義務 / オルタナティブな教育 / 通学 / オンライン学習 / 学力 / 職業訓練 / 移民・難民の子ども / 移民 / 受け入れ社会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ドイツにおける移民の社会統合をめぐる問題を、移民の子どもの学校適応の「難しさ」に着目しながら論じるものである。2000年代に入り、ドイツでは教育制度の整備を進め、移民背景をもつ子どもに努力を求めることでの統合が目指されてきた。 排外主義的な流れが強まる当該社会では、統合はますます重要な「移民の」問題として位置づいているが、本研究は移民側のいわば主体的努力を求める・促す態度への批判的再考が刷新され続けるべきだという問題意識に立ち、学校での成績不振や不適応の問題を抱える移民の子どもをめぐる問題を個人に起因する問題としてではなく、受け入れ社会の問題として論じるものである。
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研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍以降はじめて、ドイツへの渡航を実現することができた。短期間ではあったものの、ドイツでの現地調査では、フランクフルト市の学校政策行政官やウクライナ難民の受け入れにあたって住居調達を担当する行政官への訪問調査などを実施することができた。あわせて、学校欠席/不登校現象をテーマとした国際共同研究を進め、ドイツで開催された「学校欠席とドロップアウト」研究会にて共同で発表を行うことができた。 コロナ禍で数年ぶりにドイツに渡航し、街の変化、また人口構成の変化を数字としてだけでなく、現実のものとして捉えることができた。なかでも、ドイツ社会において、ウクライナ難民の受け入れが学校にとっても、社会にとっても新たに大きな課題として位置づいていることを、現地調査から把握することができた。 年度後半には、刻々と変わる社会の姿を多面的に把握・記録することに努めた。ドイツにおける難民受け入れの歴史的背景やこれまでの政策、現在のウクライナ難民受け入れ状況などについて、諸資料の収集やオンラインでのインタビュー調査を継続し、把握に努めた。 難民受け入れをめぐっては、さまざまな場所・空間で、様々な形で議論が展開している。学校現場では、ドイツ語の言語習得のための支援プログラムや母語保障をめぐってだけではなく、学校における福祉サービスの充実化など、学校の役割の拡大について、議論が再燃している。 これまで移民の視点を主として、社会統合をめぐる問題を検討してきたが、今年度は難民の視点も含んで学校の役割の拡大、終日学校の導入、教員の働き方などの議論を捉え直す作業を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度前半はまだ海外渡航の制限があったものの、秋口に、現地(ドイツ)での調査を実施することができ、日々刻々と状況の変わるウクライナ難民の受け入れについて、現地で情報を収集することができた。また新たに知り合った行政官の方々と現地で信頼関係の構築を図り、帰国後、オンラインで追加のインタビュー調査を実施することができ、インタビュー内容を深めることができた。 現地に渡航することで得られるものは膨大であることに改めて気づいた半面、オンラインのよさもあることを再確認した。現地調査とオンラインでのインタビュー、両方を上手く活用しながら研究を進められたことは、コロナ禍の重要な経験・知見であった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、次年度の2023年度に、最終年度を迎える。この4年間の中で、新型コロナウィルス感染症によるパンデミックや国際情勢の変化、自然災害の発生などによって、コロナ前とは異なる社会が構築されているという前提に立ち、学校の役割(終日学校への期待)や教員の働き方、難民の受け入れを切り口に、総括的に社会の変動を捉えていきたい。 そのためにも、今後は可能な限り長期でドイツに滞在し、現地で変化を捉えられるよう、本年度関係を構築することができた学校、行政、学校外の連携機関に継続して調査協力を依頼し、調査を進めていきたい。主にインタビュー調査や参与観察を研究手法として考えている。 これらの結果を学会発表などを通して積極的に発信し、本研究課題の総括を意識して最終年度の研究活動を進める。
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