研究課題/領域番号 |
19K14122
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内海 悠二 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (70824001)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 紛争と教育 / 教育と社会構造 / 教育の効果分析 / アフガニスタン / 東ティモール / コミュニティ・レジリエンス / 空間分析 / 学校効果研究 / 初等教育 / 識字教育 / 難民・移民 / コミュニティ / レジリエンス / 紛争後の教育復興政策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、紛争の影響を受けた国家における効果的な教育復興支援政策を模索するために、紛争が教育効果に対してどのような影響を及ぼしているのかを量的手法によって実証的に明らかにすることを目的としている。教育効果の要因分析(学校効果研究)の理論を紛争と教育の議論に導入して本研究の分析枠組みを構築し、アフガニスタン及び東ティモールを事例として生徒個人の紛争経験が短期的・長期的観点から学力試験結果とその主要因にどのような作用を及ぼしていくのかを検証することで、紛争が教育に与える影響のメカニズムを解明し、紛争後の効果的な教育支援政策に寄与し得る理論的な枠組みを構築することを目指す。
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研究実績の概要 |
令和3年度に引き続き、取得したアフガニスタンのデータを使用して紛争が成人識字教育に与える影響と初等教育における紛争とコミュニティ・レジリエンスに関する分析を行った。また、令和5年3月には約3年ぶりに東ティモールに渡航し、教育省及び財務省からGIS情報とEMIS情報を含む大規模データを取得した。当該大規模データを使用して学生の教育効果と進級速度に対する要因と構造に関する空間的観点からの分析を行った。本科研における本年度の具体的な研究内容は以下の通りである。 1.前年度からの継続として、アフガニスタンで2009年より実施されたUNESCO成人識字教育を事例として地域的な紛争の有無と規模が当該識字教育学生の学習効果に与える影響を分析し論文を執筆した。当該論文は所属大学の査読雑誌に出版予定で、現在最終校正中である。 2.前年度までに公表したアフガニスタン初等教育の効果に関する分析の継続研究として、初等教育の維持に効果を及ぼすコミュニティ・レジリエンス活動の詳細な分析を行った。当該分析結果は学術論文にまとめ、災害等に対するレジリエンスに関する海外学術雑誌の特別号に投稿し、現在査読中である。 3.東ティモール渡航によって、当該国の15年分の初等・中等教育の学生個人のトラックデータ及び教員と学校に関するデータを手に入れ、2005年~2011年までの各年度で初等学校1年生の学生が10年以内に7年生まで到達する可能性に対して、当該学生個人の特性の要因のほか、各学校の特性、さらに空間的に把握したホットスポットに存在する特性、そして東ティモールに存在しているとされる東部・西部の対立という社会構造がどのように影響しているかを大規模データから探索的に分析している。令和5年夏に渡航を予定している東ティモールでの現地調査にて、さらに細かい背景を探る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症による出入国制限によって2020年度より予定している東ティモールへの渡航が2023年3月にやっとできた状況であり、今回東ティモール教育省及び財務省において2005年~2020年までの学生個票データとその他GIS情報を取得できた。ただし、当該データの分析を現在実施している最中で現地関係者へのインタビューが実施できていない。 また、米国におけるアフガニスタン識字教育および初等教育の専門家との会合及び資料収集が実施できていないが、当該関係者が現在タイに移動・居住しているため、可能であればタイにおいて情報収集を行いたいと考えている。 さらに、2022年12月から開始の部局運営業務及び2023年4月から開始の業務が若干多く、予定通りの研究業務が実施できていないことも一因である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、東ティモールで入手した大規模データを利用して、初等教育での進級状況を個人や学校特性のみならず、空間的に把握したパターンに基づいた社会構造の中で説明を試みる分析を行う予定である。当該分析にもどついて、8月に東ティモールに渡航し、当該社会構造と初等教育進級状況に関するインタビューなどを実施する予定である。 また、アフガニスタンに関する研究については、既に取得済みの大規模な社会調査(NRVA)データ2005、2009、2011、2013を利用したデータ分析を用いた研究を可能であれば引き続き行っていく予定である。当該分析に付随してヨーロッパに居住するアフガン難民に焦点を置いた研究の可能性も探る予定である。 学会発表及び研究会議については、6月及び11月開催の国内学会、及び来年3月開催の国際学会で分析結果を発表する予定であるとともに、アフガニスタンに関する別途の国際学会発表を11月に予定している。
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