研究課題/領域番号 |
19K14126
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 関西国際大学 (2021-2022) 大阪大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
山本 晃輔 関西国際大学, 社会学部, 講師 (30710222)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ブラジル / ブラジル日本移民 / 外国人 / 移動と教育 / 日系ブラジル人 / グローバリゼーションと教育 / グロバリデーションと教育 / グローバリゼーション / 多文化教育 |
研究開始時の研究の概要 |
移民とは、永住を念頭にする人びとだけでなく、移動を繰り返す人びとも少なくない。今日までのグローバル化の動向を鑑みたとき、「移民と定住」だけではない、「移民と移動」についても考慮した施策が重要となっていくことが想定される。 そこで、本研究ではケーススタディーとして、日本とブラジル間において世代を超えて移動を繰り返してきた日系ブラジル人に注目する。なぜなら、日系ブラジル人のなかには、日本とブラジル間の世代を超えた移動が「リスク」というよりも、「キャリア」の向上に繋がるケースが見られるからである。本研究を通じて、「移民と定住」だけではない「移民と移動」を射程とした教育の在りようについて検討する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、2022年度もコロナ禍の影響によって、ブラジルにおける現地調査を実施することができなかった。そのため、実地調査からインターネットを通じた 聞き取り調査に切り替え、情報収集と聞き取りデータの蓄積にあたった(15件のインタビューを実施した)。昨年度調査の規模感を修正し、ネットワークの軸となる日本語学校や日本への派遣会社を中心に情報の整理をおこなった。 コロナ禍は、私たち日本社会においてもネット空間でのコミュニケーションを加速化させた。これはブラジルでも同様であるが、日本語学校においては学習教材や情報などが多様に流入してることがみえてきた。日本での経験を有する若者が、こうした教育機関を支えているという。と同時に「フィジカル」な体験、例えば習字であるとか運動会などの伝統的な文化の維持が困難となっている。 また旧来の国際移動では主要な役割を担った派遣会社においても、日本から発出される情報だけで就労できるという状況の変化が生まれている。 ではこれらが国際移動に関わる個々人の資源編成にどのような影響を与えているのだろうか。まずもって「移動の個人化」が推し進められたという点である。その結果、移動を支えるネットワーク的な存在が、旧来の組織から一部ネット空間に移行していった。ただし、ネット空間に情報が移行したとしても、結局のところ縁故就職や、窓口機関における組織・団体の存在は重要となっている。 これらはブラジル人家族のライフスタイルの多様化と綿密にリンクしている。つまり日本における日系ブラジル人の移動は経済的な収支を念頭とし、集団としてわかりやすい物語のうえに語られてきた。これらが個人化していくことは、移動の多様性という点で興味深い一方で、エスニックコミュニティの維持という点ではこれを難しいものとなる。こうした観点を念頭に移動とともにある家族と教育を検討していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響により実地調査ができなかったこともあり、やや遅れていると進捗を評価した。コロナ禍の影響が収まることを予測し、2023年度までに課題延長をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
本調査の大きなポイントは「なぜブラジル人による出稼ぎが継続しているのか」である。そしてそれが家族史や教育にどのような影響を与えるかを問うことである。昨年度検討した「移動のカジュアル化」と「移動の個人化」という論点を現地調査を通じて検討することが今年度の課題である。
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