研究課題/領域番号 |
19K14131
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
牧野 智和 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (00508244)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 学校建築 / 図書館建築 / アクターネットワーク理論 / オフィスデザイン / 公共空間 / ミシェル・フーコー / パノプティコン / 規律訓練 / 環境管理 / アクティビティ / 創造性 / まちづくり / 社会学 / 建築計画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、長らく建築学上の関心に留まり、教育現場および人文・社会科学上看過されることの多かった学校建築のあり方について、その技術、推奨される空間構成、学校建築を通して目指される教育のあり方が歴史的にどのように変遷してきたのかについて、学校建築学および実作上の展開の追跡と、学校建築関係者へのインタビューを通して、技術・社会・言説をめぐる総合的な分析を行う。分析対象資料は学校建築計画学を中心とした学校建築に関する書籍・政府刊行物、博士論文、雑誌特集記事を中心とする。
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研究実績の概要 |
今年度は、これまでの研究の一般的な公表と、応用的な展開を行った。一般的な公表としては、日本建築学会主催のシンポジウム「建築夜楽校2023 学校建築にこれからの教育は担えるか」に登壇し、社会学の立場からの研究を建築を専門とする方々にフィードバックするとともに、学校建築研究のなかでのキーパーソンであった設計事務所シーラカンスの赤松佳珠子氏に申請者の研究内容の妥当性を確かめ、また今後の学校建築のあるべき姿について議論することができた。また、赤松氏の紹介によって、一般的にはアクセスが難しいいくつかの学校建築の見学をさせていただくことができ、これまでの研究の知見をさらに深める手がかりを得ることができた。応用的な展開としては、学校建築の傾向にも一部関連するところがある図書館建築とその運営について、前年度の対談イベントの内容をさらに発展させて論文「アクターネットワークとしての図書館」を『ライブラリー・リソース・ガイド』第46号特集「図書館を創るとはどういうことか[中編]-多元的な創造へ」に寄稿した。その概要は、図書館は公共空間・公共建築の一種として、その近年のトレンドである相互触発・公共性醸成をその空間機能として積み込むようになっているが、より明確に市民性の醸成を企図して設置されてきた経緯があることを確認したうえで、民間企業を指定管理者とした図書館運営がいかに市民性醸成の機能を損なっているかを論じ、そのうえで民間企業による運営がもたらした新たな可能性を取り入れたうえでどのような図書館独自の機能の発展を見込むことができるのか、理論的な整理を行ったというものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初4か年であった研究期間のうち、4年目の前半で研究成果をまとめて単著として刊行することができたため。ただ、コロナ禍のために実際の建築空間を見学できなかったことがいくつかあったため、研究期間を1年延長してそれらの見学を行った。ただ、計画していた建築物をすべて見学することができなかったため、もう1年延長して計画を完遂したい。
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今後の研究の推進方策 |
日本建築学会主催のシンポジウムをきっかけにして、いくつか見学させていただいた学校建築について、有名建築家による先進的な建築であったにもかかわらず当時はほぼ無視されたという特異な事例が見出された。なぜこのような事態が起こったのかを考えるにあたっては、建築物それ自体の価値を考えるのではなく、建築物の価値を評価する社会的コンテクストを分析することが有用だと考えられる。最終年度は、学校建築研究の応用として、この事例の考察を行いたい。
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