研究課題/領域番号 |
19K14145
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09020:教育社会学関連
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研究機関 | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター) |
研究代表者 |
坪田 光平 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校(能力開発院、基盤整備センター), 能力開発院, 助教 (30735931)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 学業達成 / 集団内比較 / 中国系ニューカマー / 教育戦略 / ジェンダー / 進路形成 / 差別 / 追跡調査 / コロナ禍 / アイデンティティ / 言語仲介 / 通訳経験 / ヤングケアラー / 配偶者選択 / エスニシティ / 中国系移民第二世代 / エスニック文化 / タイガーマザー / 移民第二世代 / 比較研究 / 中国系移民家族 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本社会で育つ中国系移民第二世代の学業達成プロセスを「集団内比較」の視点から検討することである。高い学業達成を遂げる集団として特徴づけられてきた中国系移民集団の「成功」の背景には、しばしば「漢字圏」という言語的側面が盛んに注目されてきた。しかし親世代の渡日経緯は多様化の一途をたどり、中国系移民家族には階層的地位の多様化が顕著に進んでいる。そこで本研究では、既存研究が十分に注目してこなかった同一エスニック集団内を比較する視点に立ちながら、家族の教育戦略やトランスナショナリズム、さらに「成功」への意味付与の分析を通して多様化が進む中国系移民第二世代の学業達成を比較考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、中国系ニューカマー第二世代の学業達成過程をインタビュー調査から明らかにするとともに、そのプロセスの異同や分岐をエスニック集団内部の差異に注目して検討した。その結果、親の来日経緯と出身階層には関連が見られ、家族の教育戦略には無視できない違いが示された。とくに親が大卒以上(元留学生など)の場合には親主導ともいえる学業達成過程がみられた一方、親が高卒以下(中国帰国者など)の場合には学業離脱のリスクを抱えていることも示された。大学進学率の高さが特徴ともいえる中国系ニューカマー集団とはいえ、そこには親の来日経緯や出身階層のみならず男女間格差や地域性に留意した慎重な検討の必要性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大学進学率の高さで知られる中国系ニューカマー集団に対して、日本国内では「教育熱心さ」というステレオタイプが付与されたり学業達成に「成功的」なモデルマイノリティ集団として見られやすいという問題があった。しかし、集団内部を比較する視点に立つ本研究は、中国系ニューカマー第二世代には順風満帆な学業達成が必ずしも約束されているわけではなく、集団内部に進む階層化に留意することによって学業上のリスクと必要な支援に目を向けるべきことを提起した点で重要な社会的意義をもつといえる。
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