研究課題/領域番号 |
19K14183
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 白梅学園大学 |
研究代表者 |
宮田 まり子 白梅学園大学, 子ども学部, 准教授 (50350343)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 積み木 / 4歳児 / 相互行為 / 物語の生成 / 物語生成 / 協働の過程 / 媒介物 / 遊び / 園における積み木場面 / 協働 / 幼稚園 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,幼児が特には物語を用いて他者との関係を構築して協働し,集団を形成していく過程を検討する。教材としての歴史が長く広く普及している積み木に着目し,幼児の具体的操作と認識,他者を含む相互行為のあり方を示す。また本研究対象である4歳児は,葛藤と自己調整を繰り返す中で,集団におけるより良い在り方像を獲得し,社会的望ましさを意識する最初の過程である時期でもある。 本研究において,4歳児における積み木場面での物の操作と,場の参加者間で生成されていく物語生成との関係を明らかにすることで,保育におけるプロセスの何に着目し,どのような環境の設定や相互行為の支援が,質の向上に必要であるのかを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,園における4歳児の積み木場面に着目し,そこで行われる相互行為を明らかにすることである。中型木製積み木を有する幼稚園4歳児クラスにおける参与観察の結果、(1)他児との相互行為の増加と積み木構築の繰り返しの中で発生する葛藤と調整(2)イメージの共有を補う別素材の持ち込みの二点が確認され、また(3)中型積み木の保育室内での占有率の高さから他児の目に触れやすく,デザインの模倣によるイメージの伝達が発生することが観察された。 更に分析を重ねた結果、4歳児積み木場面における積み木は、①遊ぶイメージに適した場づくりのための利用②高さを利用した遊びへの活用の二点が確認され、相互行為に着目した観察の結果、①積み木の操作過程において相互行為が促進されること②積み木の形状や大きさが多様であると試行錯誤が促進される可能性が高くなることが示唆された。 また、他の媒介物(自然物や人工素材、ICT機器など)における相互行為との比較において、その他全ての媒介物が各々持つように、積み木にも固有の操作を引き出す特性があり、結果積み木の場固有の物語が生成されている可能性が示された。媒介物による結果の違いは、媒介物に対する操作の影響度合いが関係していることが想定される。 他の媒介物との比較を含め、物固有の操作とその結果としての発生の可能性が考えられる相互行為及び物語の生成過程について明かにすることは今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症により、当初予定していた参与観察による調査は2020年度よりできない状況が続いていることもあり、昨年度は保育・幼児教育における積み木研究に関する先行研究のレビューと、これまでに得たデータにおける分析と他の媒介物における相互行為に関する実践報告のレビューを行っている。 結果、積み木に関する先行研究は①積み木の特性に関する研究②積み木を媒介物として相互行為に着目した研究③積み木における教育的効果に関する研究の3点に分類された。特に、近年、プログラミング能力に関する関心の高まりを背景として、三点目の教育的効果に関する論文が増加傾向にあった。また、他の媒介物における相互行為に関する実践報告では、媒介する物の材質や機能性により、異なる相互行為と効果が発生している可能性が示唆された。 今後は、他の媒介物における相互行為との比較も行いつつ、積み木固有の操作と相互行為の過程をより詳細に分析し、4歳児の物語の生成過程について、特徴を明らかにしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は研究方法として参与観察を採用している。研究初年度では,中型木製積み木を有する幼稚園4歳児クラスにおいて,合計70時間の参与観察調査を行っている(期間: 2019年4月~2月:内23日間)。しかし、その後は新型コロナウィルス感染症予防対策として、園内での研究が開始できない状況にあった。よって、国内外の先行研究のレビューを進め、観察調査再開に向けての準備を進めてきた。今年度は観察を再開し、文献調査から得た視点を用いてより焦点化した分析を行っていきたい。
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