研究課題/領域番号 |
19K14188
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09030:子ども学および保育学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
凪 幸世 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90772971)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 慢性栄養失調 / 悪液質 / マラリア / 住血吸虫症 / ケニア / 子ども / 握力 / 顧みられない熱帯病(NTDs) / 顧みられない熱帯病(NTD) |
研究開始時の研究の概要 |
世界の5歳未満児の年間死亡数は560万人であり、その約半数に栄養不良が関係している。また開発途上国においては、大半の幼児に寄生虫感染が認められることから、寄生虫感染が原因となる栄養不良が報告されている。特に栄養不良の終末像とも言われる悪液質は、基礎疾患に関連した全身性代謝異常を示す病態であり、従来の栄養療法では改善が困難なため予防がより重要となる。近年、悪液質に至る発症メカニズムの解明が進展しているが、寄生虫感染が悪液質に至るとのエビデンスは未だ乏しい。本研究では、マラリアと住血吸虫症による悪液質の実態と発症メカニズムを解明することで、予防可能な疾病による死亡を減少させることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は共同研究機関である長崎大学、熱帯医学研究所とケニア中央医学研究所の強力なサポートを得て、新型コロナウイルス蔓延下の渡航制限のなかリモートによる栄養疫学調査の実施が可能となった。栄養疫学調査は西ケニア・ホマベイ郡の学童332人を対象とし、調査地域で蔓延している主な寄生虫(マラリア、住血吸虫、土壌伝搬蠕虫:回虫、鉤虫、鞭虫)感染の検出、握力や筋肉量を含む各種身体測定と、対象学童の養育者を対象とした質問票調査により世帯者全員の年齢、性別、母親の学歴や社会経済状況などの基礎データ収集を実施した。
昨年度は、栄養不良の発症要因に関連する生体内生理活性物質の測定やマラリア、住血吸虫などの病原体を検出するために血液・便サンプルの輸送手続きを行った。また研究協力者らの手厚い支援により、サンプルをケニアから凍結状態の最適な条件下で日本まで輸送することが出来た。これらのサンプルのうち、現地調査で実施した簡易診断キットを用いたマラリア検査や顕微鏡下での寄生虫の検出に加えて、より精度が高い方法、かつ上記以外の病原体を検出するために遺伝子増幅法(PCR法)を実施するために、その準備として、検査容量を満たす全ての便サンプルからDNA抽出を行った。さらに、目的とするさまざまな生理活性物質の検査を実現するために別途、研究予算を獲得した。
なお、海外渡航が出来なかった際に共同で進めてきた「日本における顧みられない熱帯病(NTDs)の現状について」のスコーピングレビューを現在、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究4年目において、ようやく本課題「ケニアにおける悪液質の実態調査と発症要因解明に関する新たな試み」の推進に欠かせない栄養不良の発症要因と病原体を検出するためのサンプル輸送が叶った。それまでの期間、同時進行してきた共同研究で取得したデータの統合を進めるなど、次の研究に向けた準備を行うことが出来た。しかし、栄養疫学調査ならびにサンプルの輸送の遅延から当初の予定よりも血液サンプルの解析等が追いついていないため、進捗としては、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き、栄養不良の発症要因の解析と病原体の検出を進める。
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