研究課題
若手研究
児童生徒が被害者となる事件(犯罪)が後を絶たず増加傾向にある今日において、学校安全に有効な手立ては校種や年齢などによって生じる課題が異なると考えられる。そのため、校種や対象者別のヒヤリハット傾向に着目し「共育」をキーワードに学校と地域が協働する系統性のある健康教育のあり方を探るとともに、児童生徒の社会的健康を育む多世代交流型の防犯共育プログラムの構築と校種に適合したアセスメントシートの提言を目指す。
本研究は、防犯活動を主軸に異年齢集団活動や多世代交流に依拠した安全教育の有用性を探究するために実践前後の意識調査を行い、行動変容の参与観察をした。関西圏の小中学校を主なフィールドに実践介入し、ヘルスプロモーションの理念に基づき申請者が提案した視覚的教材を活用し上級生が下級生に伝え学び合う縦割り型の防犯学習など新たな実践方法を示すことで、包括的支援と「共育」の視点を取り入れた安全学習プログラムのメリットを捉えることができた。同時に、学校と地域の協働という視点で地域見守りボランティアや教員を対象にヒヤリハット体験の分析結果等から、地域連携活動の強化を目途にした防犯教育の評価シートの開発に至った。
自助努力を要する児童生徒にとってより身近なソーシャルキャピタルである学校関係者や校区内の地域住民が協働する“共助”を高める安全教育を検証した。申請者は危機対応プロセス図を用いてヒヤリハット体験を軽減する方策として、教育現場で求められる掲示教材を作成し実践介入した結果、上級生自らが動画制作に参画し下級生をサポートする異年齢集団活動を展開し、不安尺度分析から不安緩和傾向がみられ、その指導手法は危機回避力の育成に一定の有効性を明らかにした。また共育プログラムの構築のために5つの指標から構成する「防犯教育評価票」を策定し、アセスメントシートの活用意義を提唱するなど指導者側へのアプローチにつながった。
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