研究課題/領域番号 |
19K14225
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
石井 洋 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50734034)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 教師の評価力 / 授業改善 / 途上国教師 / 児童生徒の視点 / パフォーマンス評価 / アセスメント・リテラシー / 評価力向上プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
開発途上国では、教育の質的向上が目指され、授業研究や生徒中心型の教授法の導入、カリキュラム改訂などが行われてきている。しかし、我が国の教師の様に生徒の学習状況を反省的に捉えることによる授業改善が進んでいないことが指摘されている。開発途上国では評価力の低い教師が多く、生徒の実態を適切に捉えることができないことが、生徒主体の授業実践を阻んでいる要因として考えられる。 そこで本研究では、生徒の学習状況を反省的に捉えることによる授業改善の枠組みや、教師の評価力を向上させるための研修プログラムを開発する。その上で、それらを関連付けながら、今後の開発途上国における授業改善の方向性について考察する。
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研究実績の概要 |
当該年度は、これまで共同研究者として研究を進めてきた国費教員研修留学生の研修成果に着目し、授業改善の枠組みを考察することとした。 一つ目の研究は、2020~2021年度に本学で受け入れた5名の留学生が、1年間に渡る附属小学校の授業観察を通して、どのように日本の小学校の算数教育を捉えたのかを本学の研究紀要に投稿した成果論文を分析することによって明らかにしたものである。よそ者論を理論的背景とし、我が国の算数教育の関心の高い内容として、問題解決の授業過程やその指導法、教科教育を発展させる上での授業研究の良さなど、これまでの研究でも述べられていたことが、共通認識として確認された。「実施されたカリキュラム」においては、授業展開(問題提示、グループ交流、振り返りやまとめ等)、文章題、練り上げ、教師の役割などが挙げられ、問題解決の授業展開そのものが日本の算数教育の特徴であると認識されていた。そして、母語で授業を行えていることや進級試験から離れた算数教育を行えている点等、これまで我が国では自覚的になっていなかった小学校における算数教育の特徴について浮かび上がらせることができた。 二つ目の研究は、同上の留学生が、在日研修を通してどのように算数・数学科における学習観を変容させたのかを明らかにし、国際教育協力の視座から今後の研修プログラムのあり方を考察したものである。研究成果としては、本研修プログラムの成果について、留学生の質問紙の配点の変化や根拠となる記述を提示することで、算数・数学の学習観の変容を明らかにすることができた点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生徒の学習状況を反省的に捉えることによる授業改善の枠組みを構築するために、学習評価に関する基礎的な研究として、ペーパーテストの可能性と限界について研究し、その後、生徒の学習状況を的確に捉えるためのパフォーマンス課題の作成に関わる課題を考察した。また、これまでの授業改善は教師が主体となっていたが、近年エージェンシーの概念が提起されてきていることから、児童・生徒の算数・数学授業に対する意見を質問紙調査で把握し、学習者主体の授業改善の可能性について考察した。そこでは、生徒が自分の学びを自分で決めるという学習に対する当事者意識をもつことを明らかにした。 開発途上国の授業改善を図るための研修プログラムについては、これまで共同研究者として研究を進めてきた国費教員研修留学生の研修成果に着目し、考察することとした。まず、1年間に渡る附属小学校の授業観察を通して、どのように日本の小学校の算数教育を捉えたのかを本学の研究紀要に投稿した成果論文を分析することによって明らかにした。よそ者論を理論的背景とし、我が国の算数教育の関心の高い内容として、問題解決の授業過程やその指導法、教科教育を発展させる上での授業研究の良さなど、これまでの研究でも述べられていたことが、共通認識として確認された。さらに、研修を通してどのように算数・数学科における学習観を変容させたのかを明らかにし、国際教育協力の視座から今後の研修プログラムのあり方を考察した。本研修プログラムの成果について、留学生の質問紙の配点の変化や根拠となる記述を提示することで、算数・数学の学習観の変容を明らかにすることができた。 このように研究は何とか進めているものの、COVID-19の感染拡大により国内で調査をせざるを得ない状況下なので、当初予定していた研究内容の方向性からは若干ずれている点は否めないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定では、今後教師の評価力を向上させるための研修プログラムを開発途上国(ザンビア及びサモア)の調査校において実施する予定であった。しかしながら、COVID-19の感染拡大により渡航の自粛が求められ、国内で調査をせざるを得ない状況となっている。最終的にはこれまでの研究成果を基に、授業改善の枠組みと評価力向上プログラムを関連付けながら、今後の開発途上国における授業改善の方向性について考察することを目指していく。
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