研究課題/領域番号 |
19K14253
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
|
研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
紙田 路子 岡山理科大学, 教育学部, 准教授 (00782997)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 納得解の追究 / 持続可能な社会の担い手 / 対話 / 価値調整能力 / 市民的資質・能力 / 価値調整能力の育成 / 協調 / 選択・判断 / 市民的資質・能力の育成 / 価値調整のための対話のありかた / 批判的志向と共感 / 新たな視座の獲得 / 子どもの主体化 / 市民性教育における対話 / U理論 / 公共的意思決定 / 応答責任としての対話 / 社会論争問題 / 価値学習 / 社会科授業構成理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては,既存の判断基準では解決できない事象や異なる他者との出会いを通して,自己の判断基準の自明性を疑い,新たな価値判断を構築,更新できる資質を,価値調整能力ととらえる。本研究の目的は子どもの価値調整能力を育成する社会科授業構成論を解明することである。特に小学校社会科授業における対話を通した合理的意思決定過程,価値調整過程の在り方を明らかにする。具体的には①子どもの価値調整過程の解明②①に基づく授業モデル,授業計画の構築③価値調整能力の育成から見た授業構成理論の検証の研究に取り組む。
|
研究成果の概要 |
本研究では,価値調整能力を「多様な見方・考え方との出会いを通して自らの判断基準を更新,再構築できる資質」ととらえ,これを育成する授業として「納得解を追究する社会科授業」を提案し,授業実践を通してその成果を明らかにした。実践の結果,子どもは地域の問題の解決において他者への「共感」と自他への「批判的思考」の2つの思考を働かせながら,納得解を構築することが明らかとなった。さらに体験・対話を通して他者に没入することで,視野を広げ,現実的な納得解を希求できた。利害関係者が双方に納得できる解を創造できたとき彼らの認識や判断は,より当該社会のあり様に適応した形で再構築されることも明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中教審「令和の日本型教育」は,子供たちに求められる資質・能力の一つとして,対話や協働を通じて新しい解や納得解を生み出す力を挙げている。本研究の第1の意義は,納得解を追究する授業構想を示し,授業に具体化したことである。第2の意義は納得解を追究する授業は,「現在進行形の,社会の状況や変化に応じた知識を身に付ける」「多様な利害関係者が納得する社会の在り方を創造する」という点で「持続可能な社会の創り手」としての資質・能力を保障する授業論であることを明らかにした点である。VUCAといわれる時代の中で,個人と社会のウェルビーイングを実現する市民を育成する社会科の在り方を提案した点に本研究の意義がある。
|