研究課題/領域番号 |
19K14261
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09050:高等教育学関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
中世古 貴彦 九州産業大学, 基礎教育センター, 准教授 (50757656)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 米国高等教育 / 旗艦州立大学 / 憲法上の自治 / 州高等教育調整機関 / 大学理事会 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の米国高等教育では、改革のリーダーシップの機能不全のために州全体の計画・調整の枠組みの在り方が問い直されており、この10年ほどの間に少なくとも7州でこうした枠組みの改革が既に行われている。本研究課題「州憲法上独立した米国大学と高等教育政策の計画・調整」は、旗艦州立大学が州憲法による自治を有する6州を対象として、高等教育に期待される公的使命の達成に向けて、大学の強固な自治・自律性と、学外からの公的統制との葛藤がいかにして乗り越えられようとしているのかを、<憲法上独立した旗艦州立大学>と<州全体の高等教育政策の計画・調整機構>に注目しつつ明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究課題「州憲法上独立した米国大学と高等教育政策の計画・調整」は、旗艦州立大学が州憲法による自治を有する州を対象として、高等教育に期待される公的使命の達成に向けて、大学の強固な自治・自律性と、学外からの公的統制との葛藤がいかにして乗り越えられようとしているのかを、<憲法上独立した旗艦州立大学>と<州全体の高等教育政策の計画・調整機構>に注目しつつ明らかにすることを目的としている。 申請時の研究期間を1年延長した2023年度は、カリフォルニア大学のOffice of Presidentやバークレー校で現地調査を行った。また、2023年度研究成果公開促進費(学術図書)(課題番号23HP5148)を得て、同州についてのこれまでの研究成果をまとめ、2024年2月に『アメリカ高等教育のガバナンス改革:カリフォルニア大学の自律と統制をめぐる葛藤』(九州大学出版会)として出版した。同書では、カリフォルニア大学の議事録、同州議会資料や政策文書などの分析を行い、公的使命の追求を巡るカリフォルニア大学と州議会・知事と対立を軸に「カリフォルニア・アイデア」を再検討した。特に、クラークの「調整の三角形」に関する先行研究に鑑みて、カリフォルニア大学理事会や州調整機関の構成員や任命方法などについての改革議論の変遷を、「州政府」「大学」「州民」の頂点からなる三角形の評価枠組みに落とし込んで分析を行った。その結果、大学が社会の要望に寄り添うように「自主的なコンプライアンス」が働くような条件さえあれば、政府の直截な要求に従うよりも合理的に大学は社会経済的要請にも対応できるので、政府は大学管理を手放すことを恐れる必要がないことが、カリフォルニア州を事例に示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、毎年度、1~2州について情報収集・現地調査を実施する予定であった。しかしながら、2020年1月頃からの世界的な新型コロナウィルス感染症の影響で、渡航制限やそれに伴う本務への支障に関する懸念、またコロナ禍に伴い所属する機関や学協会において様々な業務負担が追加で生じたため、現地調査に着手できないのみならず、研究時間を確保すること自体が極めて困難な状況が続いていた。感染症対策を名目とした規制がほぼ解除された2023年度には、カリフォルニア州での現地調査を実施できたが、これまでの遅れをすべて取り戻すには至っていない。 カリフォルニア州を中心に本研究の成果を取りまとめることができたが、以上の理由のため、進捗状況について「やや遅れている」という判断を行った。
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今後の研究の推進方策 |
特にコロナ禍を経て、米国の高等教育分野の政策課題や高等教育機関の教学経営上の優先課題は、研究計画段階とは変化しているようである。また、記録的な円安の進行のために現地調査のコストが当初の想定よりも高くなっている。まずは、引き続き動向を注視し、本研究の視点から分析が可能な情報の収集や分析を行うとともに、現地調査の実施可能性を探りたい。そのために、2023年度末に研究期間の延長を申請した。
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