研究課題/領域番号 |
19K14280
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
蔦森 英史 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60708478)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 限局性学習症 / 類推 / 推論 / 音読 / 仮名文字 / 類似 / 類似性 / 共通項 / 発達性ディスレクシア |
研究開始時の研究の概要 |
学習困難事例に数学文章題を実施した結果、基本問題で習得した知識を類題で正しく適用できないという、類推機能に関わるエラーが観察された。類推は、過去の経験(ベース)と現状の課題(ターゲット)との間の類似性を抽出し、現在の問題解決に適用(写像)する機能である。本事例はこの類似性抽出の段階で、基本問題から属性類似、すなわち具体的な問題の構造や数字との対応関係へ着目できなかったことから、類題への知識の適用で誤りが認められたと考えられた。これらの観察結果をもとに、本研究は属性類似と関係類似といった共通項抽出の違いが類推と学習に及ぼす影響について検討することを計画したものである。
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研究成果の概要 |
本研究は限局性学習症の定義内にもある推論機能(類推)の基礎的研究である。類推とは、過去の経験(ベース)と現状の課題(ターゲット)との間の類似性を抽出し知識を適用(写像)する推論の枠組みである。この類推を成功させるためにはベースとターゲット間の類似性に着目できるかが重要と考えられていた。しかしながら本研究結果では類似性の抽出の程度が類推の成功に寄与しなかった。論理的思考を要する課題で低成績の参加者ほど類推に成功する結果が示された。論理的に思考する人ほどターゲット課題のみに注意を焦点化し、注意を拡散できずベース課題の知識を適用できなかった可能性が考えられる
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
基本問題を学習しても、類題や応用問題に知識を適用できない子どもは少なくない。そのような学習上の課題に直面している子どもは、発達性ディスレクシア(DD)とは別の枠組みで躓きの要因を検討することが重要である。本研究は類推機能に着目し、基礎的な研究を行なった。将来的に学習の躓きの要因を検討する1つの切り口になる可能性があり、社会的に意義がある。また従来の類推研究では類似性の抽出の程度が類推の成功に寄与すると考えられていたが、それを支持する結果は得られなかった。一方で、論理的思考の高さが類推を妨げる結果が示された。この結果は類推を成功させるメカニズムを検討する上で重要な知見であり学術的に意義がある。
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