研究課題/領域番号 |
19K14286
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09060:特別支援教育関連
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
大谷 博俊 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60420551)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 自閉症スペクトラム / ライフキャリア / 能力・態度 / 実践研究 / ライフ・キャリア / 特別支援教育 / ライフ・キャリア実践 / 生活実態 / 指導プログラム / 教師教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は①自閉症スペクトラム症者のライフキャリアの能力・態度を実証的に明らかにすること②特別活動を要とする自閉症スペクトラム症者のライフキャリアの能力・態度指導プログラムを開発すること③その指導プログラムの成果を検証することである。新学習指導要領では特別活動を要としたキャリア教育を推進することが求められている。特別支援教育におけるキャリア教育では、生涯の生き方に視点をあてたライフキャリア発達支援への論究は十分でなく、また、キャリア発達において重要な自己理解については、自閉症スペクトラム症者に独自性があることから、それらに配慮したライフキャリア指導プログラムの開発が必要であると考える。
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研究実績の概要 |
令和4年度は小学校、特別支援学校(中学部・高等部)におけるライフキャリアの能力・態度に関わる指導実践を確認するために、日本特殊教育学会でシンポジウムを開催し、専門的知見を有する大学教員の助言を得て検証した(10.研究発表〔学会発表〕参照)。 また、これまでの研究成果に加えて、研究レビューを行い、“授業づくり”の要点を検討した(10.研究発表〔雑誌論文〕参照)。その結果、ライフキャリア発達支援のための授業づくりにおいては、授業を構成する要素ごとに、次の8つの事項を備える必要があると結論づけた。①「児童生徒理解(キャリア実態の把握)」、②「把握したキャリアの能力・態度に基づいた学習目標の設定」、③「イメージしやすいように工夫した学習内容の選定・組織化」、④「“見て分かる”、“操作して分かる”教材・教具の使用」、⑤「他の教科学習や行事との関連性を考慮した学習計画」、⑥「児童生徒の意見、意思、判断などが繰り返し表現できる機会を組み込んだ授業展開」、⑦「指導者間で内容を共有している指導体制」、⑧「評価計画の立案」。 さらに、これらの諸要件の活用を検討するために、共同研究を行った(10.研究発表〔雑誌論文〕参照)。小学校特別支援学級低・中学年実践においては、「児童生徒理解(実態把握)」における児童の自己理解や自己評価の重要性が示された。小学校特別支援学級高学年実践においては 、ライフキャリア形成と“多様な学習の場”の関連が示唆された。小学校の通常の学級実践においては、「児童理解」、「学習目標」等の、複数の要件が授業に含まれることが、有用であることが示された。中学校の通常学級実践においては、特に「教材・教具」を工夫することの重要性が示された。 ところで、これらの指導プログラム等の作成・検証には、実践研究の継続と、専門家からの意見聴取や評価が必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度までの成果に基づき、教職大学院の授業科目である「特別支援教育におけるキャリア教育・進路指導デザイン」と「教育実践研究」を中心に、義務教育学校、高等学校あるいは特別支援学校高等部でのプログラム効果を確認することを想定していたが、自身が新型コロナウイルス感染症に罹患するなどもあり、自閉症スペクトラム症者のライフキャリアの能力・態度指導プログラムに関わる院生とのディスカッションなどにも支障があった。このような状況の中、先のプログラムに関わる実践研究のために、オンライン授業を駆使したものの、効率は決してよいものではなかった。令和4年度は、学会での関連シンポジウムを開催し、オンラインによる助言も得ることはできたが、さらに知見が必要である。 このように、適切に実践研究を進めるための協力先確保、そして研究に耐えうる安定した実施方法に難があり、進捗に遅れを生じた。また、実践成果を精査する、助言を得る等のための、学会等発表や研究会等は、重ねることができたとはいえ、さらに成果検証が必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、まず、自閉症スペクトラム症者のライフキャリアの能力・態度指導プログラムに関わる実践成果について、整理し、まとめることに注力する。オンラインによる学外の研究者や学校現場の教員等と意見交換する等の方法が安定して運用できるようになってきたため、協議や学会等での発表機会を継続し、より意義のあるものとしていきたい。 次に、自閉症スペクトラム症者のライフキャリアの能力・態度指導プログラムに関わる実践研究についても、さらに継続していきたい。
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